◎オタワ警察は国立戦争記念館や無名戦士の墓などで繰り広げられた蛮行の調査を開始した。
2022年1月30日/カナダ、首都オタワの議会議事堂近く(Adrian Wyld/The Canadian Press)

1月30日、カナダの首都オタワで2日連続となる反コロナワクチンデモが開催され、議会議事堂周辺に集まった数千人が政府の政策に抗議した。

議事堂近くの幹線道路には大型トラック数十台が大挙して押し寄せ、大渋滞を引き起こした。

今回のデモは、1月15日にカナダと米国を行き来するトラック運転手にワクチン接種が義務付けられたことで本格化した。

カナダ放送協会(CBC)によると、警察は国立戦争記念館や無名戦士の墓などで繰り広げられた蛮行の調査を開始したという。

幼い頃に骨肉腫で右足を失い、カナダ全土で募金活動を行うために走り亡くなった国民的英雄テリー・フォックスの像には、「自由を義務付ける」と書かれた看板、落書き、ナチスの旗などが取り付けられていた。

卍の旗は無名戦士の墓にも設置され、墓地で踊っている女性の動画は多くの非難を巻き起こした。

アニータ・アナンド国防相は一連の蛮行を厳しく非難した。

オタワ警察も「モニュメントの冒涜」および「警察、公務員、その他の個人に対する脅迫や違法行為」についての調査を進めていると30日にツイートした。

またオタワ警察はトラック運転手の団体が暴動を引き起こす可能性があると29日に警告し、市中心部に近づかないよう促していた。一部の議会議員は暴徒が企業や店舗だけでなく議員の自宅を襲う可能性があると警告した。

ジャスティン・トルドー首相と家族は安全上の懸念を受け、オタワの自宅を離れている。

オタワのジム・ワトソン市長は、「一部の抗議者がレストランに入店を拒否されたことに腹を立て、嫌がらせをした」と報告した。道路の不法占拠(トラックの駐車)も調査の対象になると伝えられている。

カナダのワクチン接種率はG7の中で最も高く、人口の約79%が2回接種を終えている。また、カナダの輸送情報をまとめるカナディアン・トラッキング・アライアンスによると、国境を越えて働くトラック運転手約12万人の85~90%がワクチン接種を終えたという。

トルドー首相は先週の記者会見で抗議者を「フリンジマイノリティ(一部の非主流派)」と呼び、国民にブースター接種と基本的な感染予防対策を徹底し、混乱に惑わされないよう呼びかけた。

一方、保守党のエリン・オウトゥール党首は現地でトラック運転手を応援したものの、「モニュメントの冒涜は容認できない」と非難ツイートを発信した。

地元メディアが行った複数の世論調査によると、トラック運転手のワクチン義務化はおおむね支持されているという。米国もカナダ政府の措置を歓迎し、「国境を越える運転手はワクチン接種証明を提示すべき」と述べている。

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