◎ルヴァサのカラクム砂漠に形成された天然ガス田のクレーターは半世紀以上燃え続けている。
1月8日、トルクメニスタンの大統領は国内で最も著名な観光地のひとつである「地獄の門」を閉鎖するよう当局者に命じた。
首都アシガバートの北約260kmに位置するダルヴァサのカラクム砂漠に形成された天然ガス田のクレーターは半世紀以上燃え続けており、地球で最も閉鎖的な国のひとつであるトルクメニスタンを象徴する観光スポットになった。
権威主義者のグルバングル・ベルディムハメドフ大統領は環境と健康上の理由および天然ガス輸出を増やす取り組みの一環として、地獄の門を消火したいと考えている。
トルクメニスタンの専門家などによると、地獄の門は1971年に旧ソビエト政府当局がガス油田の掘削に失敗し形成されたと信じられているという。
しかし、カナダの探検家ジョージ・コロニス氏は2013年にクレーターの深さを調査した際、「地獄の門が形成された時期を知っている人はひとりもいない」という結論に達した。クレーターの深さは約30m、直径は60mほど。
しかし、トルクメニスタンの一部の活動家は、「地獄の門は1960年代に誕生し、1980年代に着火し、人気観光地になった」と主張している。
地獄の門は閉鎖的な国への入国を許可された観光客を魅了している。国営テレビは2019年に門周辺をオフロードトラックで疾走するベルディムハメドフ大統領の映像を公開し、話題をさらった。
しかし、国営新聞は1月8日、「ベルディムハメドフ大統領はクレーターは国の環境と地域住民の健康に影響を及ぼしていると指摘し、当局者に火を消すよう命じた」と報じた。
またベルディムハメドフ大統領は国営メディアが8日に放送したテレビ演説の中で、「私たちは国に大きな利益をもたらす貴重な天然資源を失い続けています」と述べ、国民に門を閉鎖すると約束した。
ベルディムハメドフ大統領は何度か門の消火を指示しているが、作戦はすべて失敗に終わっている。
地獄の門はトルクメニスタンでは「シャイニング・オブ・カラクム(カラクムの輝き)」と呼ばれている。
トルクメニスタンはコロナウイルス陽性ゼロを維持している数少ない国のひとつと信じられているが、昨年コロナワクチンの緊急使用を承認し物議を醸した。