◎南アフリカとイギリスの初期データを検証した一部の科学者は、オミクロン株はデルタ株に勝利する可能性があると予想した。
世界保健機関(WHO)と世界の科学者たちは、新たなコロナ変異ウイルス「オミクロン株」とデルタ株の戦いを注意深く見守っている。
インドで最初に検出されたデルタ株は他の「懸念される変異種(VOC)」を圧倒し、あっという間に世界を席巻したが、オミクロン株はそれを上回ると予想されている。
南アフリカとイギリスの初期データを検証した一部の科学者は、オミクロン株はデルタ株に勝利する可能性があると予想した。
ハーバード大学のウイルス研究を主導するジェイコブ・レミュー博士はAP通信のインタビューの中で、「初期データはオミクロン株がデルタ株を凌駕する可能性が高いと示唆している」と語った。
しかし、現時点でどちらが強いかを判断することは難しいと指摘する科学者もいる。
WHOと世界の科学者はオミクロン株の研究を進めているが、その実態はまだほとんど分かっていない。レミュー博士を含む一部の科学者は、南アフリカの新規陽性者が劇的に増加し、オミクロン株がその大半を占めていることに懸念を表明した。
南アフリカの11月中旬の1週間あたり陽性者は1日平均200件未満だったが、先週末の新規陽性者は16,000件に達した。保健当局によると、最も人口の多いハウテン州の新規の90%以上がオミクロン株に置きかわり、他の8州でもオミクロン株が優勢になりつつあるという。
アフリカ健康研究所(AHRI)のウィレム・ハネコム所長は先週、「オミクロン株は急速に広がっている」と懸念を表明した。「今回の感染爆発は以前に経験した波よりはるかに大きく、オミクロン株の感染力が非常に強いことを示唆しています...」
しかしハネコム所長は、「そもそも南アフリカのデルタ株患者は少なく、オミクロン株がそれを上回るかどうかは分からない」と述べ、ワクチン接種を加速させつつ感染予防対策を徹底することが重要とくぎを刺した。
南アフリカの初期データによると、オミクロン株の「再感染率」は他の変異種よりはるかに高いことが示唆され、既存のワクチンにもある程度耐性を持っている可能性が高いという。また感染者の大半はワクチン未接種者の若者で、症状は軽度か無症状と報告されている。
ハネコム所長は他国が南アフリカと同じ状況になるかどうかは分からないと警告した。「南アフリカのワクチン接種率はまだ人口の4分の1です。オミクロン株は接種率70%超の国でも広がりますが?デルタ株に感染し回復した人はどうですか?ワクチンを接種した高齢者や基礎疾患のある人はどうですか?答えは誰にも分かりません」
WHOの主任科学者であるソミヤ・スワミナサン博士は先週、「世界の状況は1年前とは明らかに異なるため、オミクロン株にパニックを起こすのではなく、準備を進めることが重要」と強調した。
WHOによると、現在世界で流行しているコロナウイルスの99%以上がデルタ株だという。
VOCに指定されているアルファ、ベータ、ガンマはデルタ株に敗れた。注目すべき変異株のミューとラムダもワクチンに耐性を持っていると懸念されていたが、デルタ株に勝つことはできなかった。
<懸念される変異株>
・アルファ(B.1.1.7)
・ベータ(B.1.351)
・ガンマ(P.1)
・デルタ(B.1.617.2)Winner!
・オミクロン(B.1.1.529)
<注目すべき変異株>
・ラムダ(C.37)
・ミュー(B.1.621)
<監視すべき変異種>
・イプシロン(B.1.427/B.1.429)
・イータ(B.1.525)
・イオタ(B.1.526)
・カッパ(B.1.617.1)