◎マヌエル・セラヤ元大統領の妻である自由党のシオマラ・カストロ・デ・セラヤ氏の勝利がほぼ確定した。
2021年11月28日/ホンジュラス、首都テグシガルパ、大統領選に勝利したシオマラ・カストロ氏(Moises Castillo/AP通信)

ホンジュラスの現地メディアによると、11月28日に行われた大統領選挙の暫定結果が公表され、マヌエル・セラヤ元大統領の妻である自由党のシオマラ・カストロ・デ・セラヤ氏の勝利がほぼ確定したという。

集計作業はまもなく終了する予定と伝えられている。結果が確定すれば、中米初の女性大統領が誕生することになる。

<ホンジュラス2021大統領選挙 開票率100%>
・シオマラ・カストロ・デ・セラヤ 964,694票(53.61%)
・ナスリ・アスフラ 607.492票(33.87%)
・その他の候補

リベラル派のセラヤ元大統領とその家族は、2009年の憲法危機後に発生した軍事クーデターで国外に追放された。

セラヤ大統領は2009年に起草した新憲法の中で、「大統領の任期および再選制限を含むいくつかの条項の変更を禁止する」という文言を追加し、保守派を敵に回した。ホンジュラスの憲法は大統領の再選を認めていない。任期は4年。

しかし、セラヤ元大統領は近隣諸国を転々としながら復帰のタイミングを伺い、妻は軍事クーデターに抗議するデモや集会を主導しながら2013年と2017年の大統領選挙に立候補した。

米州機構は2017年の大統領選挙のやり直しを求めたが、フアン・オルランド・エルナンデス大統領は勝利を宣言し、激しい抗議デモを引き起こした。当局はデモに参加した民間人少なくとも23人を殺害したと伝えられている。

エルナンデス大統領に対する国民の怒りは、2015年に最高裁判所が大統領の再選を突然認めたことで沸点に達したが、大統領はデモを力でねじ伏せ、権力を維持した。

米ニューヨークの連邦検察官はエルナンデス大統領を麻薬密売の容疑で告発しているが、エルナンデス大統領は関与をすべて否定している。NY検察は起訴には踏み切っていないものの、大統領の退任で状況は変わる可能性がある。

エルナンデス大統領の兄弟は今年、米国の裁判所で国家規模の麻薬密売に関与した容疑で終身刑を言い渡された。

デ・セラヤ氏は選挙活動の中で、「ホンジュラスはギャングが運営する麻薬国家、アメリカ大陸で最も腐敗した国家と呼ばれています」と国民に呼びかけた。「麻薬国家で生活させられている国民の生活はひどく困窮しています...」

ホンジュラスは中南米で最も貧しい国家のひとつであり、GDPはここ数年停滞している。

ホンジュラスのシンクタンク、複数政党制 民主主義研究所のルイス・レオン氏はAP通信のインタビューの中で、「デ・セラヤ氏はセラヤ元大統領の不安定な統治スタイルが引き起こした混乱と同じ失敗を繰り返さないよう注意しなければならない」と指摘した。

またレオン氏は、「自由党は野党と協議しつつ民主的で実行可能な政府を構築する必要がある」と述べた。「行き過ぎた左翼政治は保守派の反発を招き、新たな混乱を引き起こします。野党との対話を通して柔軟な政府を構築することができれば、自由党は2025年まで政権を維持できるでしょう...」

デ・セラヤ氏は28日の勝利演説の中で、国民との恒久的な対話と腐敗の撲滅に向けた取り組みを加速させると約束した。

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