◎交渉担当者たちは来週の閣僚級協議で議論する案をまとめることに苦労している。
11月6日、グラスゴーCOP26国連気候サミットに出席している各国の交渉担当者は重要な課題の解決に向けた交渉を進めているが、目標を達成できるかどうかは微妙な情勢である。
COP26は温室効果ガスの純排出ゼロと地球の気温上昇を産業革命以前の平均気温プラス1.5℃に維持することを主な目標としている。
<COP26の主要原則>
・温室効果ガス純排出ゼロに向けた持続可能な復興の推進
・野心的で実行可能な気候変動対策(ロードマップ)の策定
・情報共有によるトランジションの促進
・温室効果ガス純排出ゼロ達成に向けた各産業ごとの脱炭素化とイノベーションの加速
・官民による投資促進
・人々を中心とするトランジションの支援
・新たなエネルギーシステムにおけるエネルギー安全保障の確立
2015年のCOP21におけるパリ協定の締結に尽力した元フランス外相のローラン・ファビウス氏は6日の記者会見で、「10月31日の交渉開始以来、会場の雰囲気は改善し、ほとんどの交渉担当者は合意を目指し話し合いを進めている」と述べた。
しかし、現地メディアによると、交渉担当者たちは来週の閣僚級協議で議論する案をまとめることに苦労しているという。
イギリスの主要交渉担当であるアーチー・ヤング氏は6日、「私たちは難しい決断を下さなければならない」と記者団に語った。
交渉担当者は4つの主要課題をまとめるために激論を交わしている。
1.宣言案
CO2の削減目標、森林伐採に関する取り決め、環境分野への投資額、石炭火力の廃止に向けた取り組みなど、気候変動と戦う具体的な目標は最終日の宣言に明記される。
最も重要な目標は、産業革命以前の平均気温プラス1.5℃を保つというパリ協定の公約を守ることと見なされている。主要先進国は温室効果ガスの削減に苦労しているが、開催国であるイギリスのボリス・ジョンソン首相は「1.5℃という目標の維持を望んでいる」と述べた。
パリ協定は5年に1回、参加国に温室効果ガスの削減目標を更新するよう求めているが、気候専門家たちは1年または2年ごとに更新する必要があると主張している。
2.環境分野への投資
先進国は発展途上国の気候変動対策を支援するために、2020年までに毎年1,000億ドルを投資すると約束した。
しかし、発展途上国の怒りと欲求不満は年を追うごとに増加しており、特にアフリカの貧しい国々は温室効果ガスの排出量は少ないにもかかわらず、気候変動の影響を最も強く受けている。
先進国と発展途上国の信頼を回復するためには、財政支援を高めるという明確なコミットメントが必要である。
一部の専門家は、「先進国に責任を負わせることも重要だが、宣言は抽象的なとらえどころのないものになる可能性があるため、投資の約束は極めて重要」と述べている。
3.炭素クレジット
先進国はパリ協定に基づいてCO2の排出量上限を決めているが、自国の排出努力だけで対応しきれない分については、排出上限に満たない国の排出枠を購入できる。
インドとブラジルはこれまでの取引で蓄積された炭素クレジット債務を放棄できるのではあれば、炭素クレジットの廃止に合意するかもしれないと考えられているが、主要国は反対している。
COPは2050年までのネットゼロ(温室効果ガスの排出量正味ゼロ)を目指しており、炭素クレジットは重要な役割を果たすと見なされている。豊かな国と企業は温室効果ガスの削減に失敗しても、貧しい国から枠を購入すれば目標を達成できる。
4.国家の排出量実績の透明性と厳格さ
各国はパリ協定に基づき温室効果ガスの削減に向けた取り組みを進めているが、提示された結果通りに温室効果ガスが削減されたかどうかをチェックすることは難しい。
中国は他国の形式に合わせて削減結果を提出することに頭を悩ませてきた。一方、ロシアとブラジルは結果をより詳細に説明するという米国やEUの要求を却下している。