◎気候活動家は具体的な目標がほとんどないことに失望を表明した。
10月31日、G20の指導者たちは貧しい国々に対する石炭火力発電所建設への資金提供を停止することに合意し、「21世紀の半ばまでに」カーボンニュートラルを達成するという漠然とした目標を発表した。
イタリアをマリオ・ドラギ首相とフランスのエマニュエル・マクロン大統領はG20サミットを成功と称賛したが、COP26(第26回国連気候変動枠組条約締約国会議)の主催者と気候活動家は具体的な目標がほとんどないことに失望を表明した。
イギリスのボリス・ジョンソン首相は目標を「温暖化する海への落下」と呼んだ。
国連のアントニオ・グテーレス事務総長も目標が不十分であることを認めた。「G20のコミットメントを歓迎します。私たちはローマを離れますが、希望が完全に消えたわけではありません...」
G20の温室効果ガス排出量は世界の総排出量の75%以上を占めている。
31日の公式声明に、2050年までにネットゼロ(温室効果ガスの排出量正味ゼロ)を達成するという目標は含まれなかった。
しかし、イタリアのドラギ首相は閉会の辞で、「G20は21世紀半ばまでに目標を達成することに同意している」と述べた。世界の科学者たちは、温暖化がもたらす気候の大災害を回避するためには、遅くとも2050年までにネットゼロを達成しなければならないと警告し、多くの国がこの意見に同意している。
しかし、世界最大の石油生産国兼輸出国であるサウジアラビア、大国ロシア、そして世界最大の炭素排出国である中国はこの目標を2060年まで後退させた。
中国の習近平 国家主席とロシアのウラジーミル・プーチン大統領はサミットにオンラインで参加したが、両首脳の不在は「野心的な目標」の設定は難しいという懸念を引き起こした。
プーチン大統領はビデオメッセージの中で、「ロシアの目標は今後30年以内に温室効果ガスの排出量を近隣のEU諸国や同盟国より少なくすることである」と述べ、ネットゼロには触れなかった。
ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相はローマの記者団に、「2050年は魔法の言葉ですか?」と尋ねた。「2050年が米国とEUの野心であれば、他国も異なる野心を持つ権利があります...」
カナダのジャスティン・トルドー首相は、コロナ禍で対面式の協議を行えたことに意味があると述べた。「私たちは温暖化が生活に与える影響を理解しています。この場で目標に向けて話し合えたことは大きな前進です...」
中国の習近平 国家主席は9月の国連総会で、国外の石炭火力発電建設への資金提供を停止すると発表した。
しかし、中国は国内の石炭火力建設の終了日を設定していない。石炭は中国の主要な発電源であり、G20の石炭総使用量の約60%を占めている。中国とインドは石炭の消費を段階的に引き下げるというG20の提案に強く反対している。
多くの気候活動家たちがG20の目標に失望を表明した。
米国を拠点とする気候活動家ネットワークのAvaaz(非営利団体)は目標を「切迫感ゼロ」と批判し、「より踏み込んだ具体的な目標と行動が必要」と訴えた。
気候活動家のグレタ・トゥーンベリ氏とヴァネッサ・ナカテ氏はメディアに宛てた公開書簡の中で、しばしば軽視されている気候変動の3つの側面を強調した。「温室効果ガスの排出量の少ない貧しい国々は、最大の汚染者(G20)のせいで気候変動の影響を最も強く受けています...」
グリーンピースのジェニファー・モーガン常務理事はAP通信のインタビューの中で、「G20は世界が必要とするリーダーシップを提供できなかった」と述べ、首脳たちは世界中で活動する若者を裏切ったと批判した。
首脳たちはグラスゴーCOP26の首脳級会議で気候変動対策について協議する。しかし、英ジョンソン首相は会議前に悲観的なメッセージを送った。「COP26が失敗すれば、すべて失敗する」
COP26は温室効果ガスの純排出ゼロと地球の気温上昇を産業革命以前の平均気温プラス1.5℃に維持することを目標としている。
<COP26の主要原則>
・温室効果ガス純排出ゼロに向けた持続可能な復興の推進
・野心的で実行可能な気候変動対策(ロードマップ)の策定
・情報共有によるトランジションの促進
・温室効果ガス純排出ゼロ達成に向けた各産業ごとの脱炭素化とイノベーションの加速
・官民による投資促進
・人々を中心とするトランジションの支援
・新たなエネルギーシステムにおけるエネルギー安全保障の確立