◎6人のうち5人は過激派組織イスラム聖戦の戦闘員で、そのうち4人は複数の犠牲者を出したテロに関与した罪で終身刑、もう1人は2年の実刑判決を言い渡されていた。
2021年9月11日/イスラエル、北部の町ウム・アル・ガナム、ギルボア刑務所から脱獄したパレスチナの過激派2人(Israeli Police/AP通信)

9月11日、イスラエル警察は6日にギルボア刑務所から脱獄したパレスチナの過激派6人のうち、これまでに4人を逮捕したと発表した。

6人はギルボア刑務所の独房から地下トンネルを進み、高さ数メートルの外壁の外に出たと考えられている。

6人のうち5人は過激派組織イスラム聖戦の戦闘員で、そのうち4人は複数の犠牲者を出したテロに関与した罪で終身刑、もう1人は2年の実刑判決を言い渡されていた。

残り1人はヨルダン川西岸地区に本拠を置く原理主義組織アル・アクサ殉教者旅団(AAMB)のザカリア・ズベイディ元司令官で、多数の銃撃事件に関与した罪で2019年に逮捕され、裁判にかけられている最中だった。

ガザ地区の住民は6人の脱獄を称賛し、一部の過激派が連帯を示すためにイスラエルに焼夷弾気球を発射したため、イスラエル軍は報復としてガザ地区を実効支配するイスラム過激派組織ハマスの施設を空爆した。

警察は11日の声明で、ズベイディ元司令官を含む脱獄犯2人を北部の町ウム・アル・ガナムで拘束したと述べた。警察は10日に北部のナザレ市でマフムード・アラデとヤクブ・カダリを拘束していた。

現地メディアによると、ズベイディ元司令官とモハメッド・アラデは市街地に身を隠していたという。警察は目隠しと手錠を付けた状態で座らされている2人の写真を公開した。

警察の当局者は、「全国に配備された隊員たちは、残り2人の行方を追っている」と述べた。

イスラエルのナフタリ・ベネット首相は11日遅くに声明で当局の捜索を称賛し、残り2人の追跡は目的を達成するまで続くと約束した。「私たちはパレスチナの過激派を必ず捕えなければなりません...」

一方、ハマスの報道官は、まだ拘束されていない2人を含むパレスチナ人6人をイスラエルとの捕虜交換協定に追加すると誓った。

ハマスは2014年のガザ紛争中に殺害したイスラエルの民間人2人と兵士2人の遺体を保持していると考えられている。イスラエル政府は2011年、1,000人を超えるパレスチナの囚人を解放し、ハマスに誘拐され5年間拘束されていた兵士を取り戻した。

ハマスのアブ・オバイダ報道官は記者団に対し、「交換取引の条件に英雄6人の解放を含める」と述べた。「6人の解放は最優先事項のひとつであり、イスラエルが拒否すれば、私たちも捕虜の交換には一切応じません」

多くのパレスチナ人がギルボア刑務所から脱獄した6人を称賛し、エルサレムの旧市街を含む各地で祝賀イベントが開催された。イスラエルの兵士や警察への攻撃に参加することはパレスチナの過激派の誇りであり、多くのパレスチナ人が死亡もしくは拘束された戦闘員を国に尽くした英雄と見なしている。

ソーシャルメディアには多くのパレスチナ人が4人の逮捕に失望とショックを表明する投稿を寄せた。

一方、イスラエル政府は11日遅くに発表した別の声明で、ガザ地区の過激派がイスラエルに向けてロケットを発射したため、防空システムで撃ち落とし、報復としてハマスの施設を再び空爆したと述べた。死傷者の有無は明らかにされていない。

パレスチナ自治政府は空爆に関する声明をまだ発表していない。ハマスの報道官は、「英雄6人はイスラエルの治安システムと威信を傷つけ、大恥をかかせた」と述べたが、ハマスの戦闘員がロケット攻撃に関与したかどうかは不明。

ハマスは2007年からガザ地区を支配しており、イスラエル軍はそこから発射されたロケット弾を含む攻撃の責任は全てハマスが負わなければならないと主張している。

2021年9月10日/イスラエル、エルサレムの旧市街、パレスチナの過激派6人の脱獄を祝うパレスチナ人たち(Mahmoud Illean/AP通信)
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