◎北朝鮮は国連や世界保健機関(WHO)などが主導するCOVAXファシリティから提供された中国製コロナワクチン約300万回分の受け取りを拒否した。
国連の報道官によると、北朝鮮は国連や世界保健機関(WHO)などが主導するCOVAXファシリティから提供された中国製コロナワクチン約300万回分の受け取りを拒否したという。
報道官は声明の中で、「国連は世界的なワクチン不足を考慮し、コロナウイルスの影響をより受けている国にワクチンを優先して提供するようCOVAXに要求した」と述べた。
COVAXファシリティは開発途上国にワクチンを提供する国際的な枠組みのひとつで、先進国の支援をもとにファイザーワクチン、アストラゼネカワクチン、中国のシノバックワクチンなどを無償で提供している。
北朝鮮はCOVAXの対象国のひとつだが、まだワクチンを受け取っていない。
北朝鮮は世界的なパンデミックが始まった初期の段階で迅速に行動し、2020年1月に国境を閉鎖した。その後、金正恩 党総書記はコロナウイルスに勝利したと宣言したが、国境閉鎖は1年半以上たった今も維持されている。
世界の医療専門家やアナリストは、中国と国境を接し頻繁に人が往来している北朝鮮の勝利宣言に懸念を表明した。北朝鮮の医療体制は極めて脆弱であり、コロナの感染拡大を抑えることは難しいと考えられている。
北朝鮮がワクチンの提供を拒否したのは今回が初めてではない。韓国のシンクタンクによると、北朝鮮は今年7月にCOVAXが提供を表明したアストラゼネカワクチン約200万回分の受け取りを拒否したという。
北朝鮮と比較的良好な関係を維持しているロシアは国産ワクチンのスプートニクVを提供すると申し出たが、拒否された。ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は7月の記者会見で、「北朝鮮に何度もワクチンを提供すると申し出てたが、拒否された」と明らかにした。
北朝鮮はコロナワクチンの有効性に疑問を抱いている。韓国当局によると、北朝鮮の国営メディアはアメリカやヨーロッパなどで確認されたワクチン接種後の副反応や死亡事例を頻繁に報道しているという。
金正恩はコロナウイルスを抑え込み、国内で感染者はひとりも出ていないと主張しているが、今年行われた党会議の中でコロナに関連していると思われる重大な事件が発生したことを明らかにし、高官を非難した。