◎国防総省によると、これまでに米兵13人の死亡を確認し、18人が負傷したという。犠牲者はさらに増える可能性がある。
2021年8月26日/アフガニスタン、首都カブールの病院(モハンマド・アシフカーン/AP通信)

8月26日、ジョー・バイデン大統領はカブールの国際空港の自爆テロに関与したイスラム国(ISIS)関連組織に復讐すると誓った。国防総省によると、これまでに米兵13人の死亡を確認し、18人が負傷したという。犠牲者はさらに増える可能性がある。

バイデン大統領は米国民に向けて、「攻撃はISIS関連グループの犯行であり、米兵とアフガニスタンの民間人が殺された」と述べ、政権を奪取したタリバンが自爆テロに関与した証拠はないと強調した。

バイデン大統領は死亡した米兵を称えるために黙祷を求め、全国民に半旗を掲げるよう命じた。

ホワイトハウスは以前、「ISIS関連のジハード組織であるISIS-K(イラクのイスラム国家とレバント)が地域の安全に深刻な脅威をもたらすという報告を受けた」と述べていた。

ISIS-Kは26日に公開した犯行声明で、「ホラーサーン州の戦士はすべての治安要塞を通過し、米軍から5メートル以内の距離に到達した」と述べた。「戦士は爆弾ベルトを爆発させ、60人を殺害し、100人以上を負傷させた...」

バイデン大統領は演説の中でテロリストに復讐すると誓った。「攻撃を実行した者、アメリカに危害を加えたいと願う者を私は許しません。私は忘れない。アメリカはテロリストを追い詰め、代償を支払わせます...」

バイデン大統領は、進行中の避難任務はテロリストの攻撃が続くとしても月末まで続くと述べ、撤退期限の8月31日を守ると強調した。また、ISISの資産、戦闘員の士気、施設を攻撃する計画を立てるよう軍司令官に命じたことも明らかにした。

米国中央軍のフランク・マッケンジー将軍は国防総省の記者会見にオンラインで参加し、記者団に「当局は新たな攻撃を予想している」と述べた。

ISISの関連組織は女性、女児、妊婦、そしてシーア派教徒を対象にしたテロを繰り返しており、タリバンよりはるかに過激と信じられている。ISIS-Kに対する米軍の最大の攻撃は2017年4月に実行され、戦闘員が掘ったトンネルと複合施設は空爆で粉々になった。

ISIS-Kは近年、都市部に拠点を移したと考えられており、米軍と他国の避難任務を複雑にする可能性がある。ISIS-Kの以前の拠点は東部ナンガルハール州にあったが、2015年1月以降に本格化した対イスラム国戦争で戦闘員の大半と拠点は壊滅したと信じられていた。

2021年8月16日/アフガニスタン、首都カブールの国際空港周辺(Getty Images/AFP通信/PAメディア)

バイデン大統領は記者からアフガンに追加の兵士を派遣するかと尋ねられ、「現地の部隊が追加を必要とするなら、応えるよう司令部に命じた」と述べたが、現在の戦力でもISIS-Kに対する大規模な報復攻撃を行うことはできると強調した。

また、最近発生した出来事の責任は自分が負っていると述べたうえで、8月31日までに全軍を撤退させるという決定を強く擁護した。

バイデン大統領はイーストルームを去る直前、「歴史上一度も統一されたことがないアフガニスタンで民主主義政府を樹立するために、アメリカ人の命を犠牲にすべきと考えたことは一度もない」と述べ、米軍は2001年10月に開戦したアフガン戦争から撤退すると誓った。

ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は26日、犠牲になった米兵の家族には通知が届くと述べた。13人の氏名は明らかにされていない。

また、バイデン大統領は犠牲者の遺体が運び込まれるデラウェア州ドーバー空軍基地の式典に出席するかもしれないと述べた。

国防総省によると、少なくとも1,000人の米国民がカブールから脱出できずにいるという。これまでに米軍が避難させた米国民、アフガニスタン人の協力者、亡命希望者は10万人を超えた。

一方、下院共和党のケビン・マッカーシー少数党首は民主党のナンシー・ペロシ下院議長に、アフガンにいる全ての米国民の避難が完了するまで米軍の徹底を禁じる法案を検討するために、議会を再開するよう求めた。ペロシ下院議長の事務所はこの要請を「うわべだけのポーズ」と非難し、速やかに却下した。

共和党は数兆ドルを費やしたアフガン戦争からの完全撤退を強く望んでいた。

ホワイトハウスは26日に予定していたイスラエルのナフタリ・ベネット首相とバイデン大統領の首脳会談を延期し、アメリカに到着したアフガン難民の再定住に関する州知事とのオンライン会議も中止した。

ドイツやフランスを含む一部の欧州諸国はアフガンからの避難任務を完了したと発表したが、国内に残らざるを得なかった自国民の避難に向けた取り組みは継続されると約束した。

イギリスのボリス・ジョンソン首相は先日、可能な限り避難任務を続けると述べた。

アフガン駐在米国大使のロス・ウィルソン氏はABCニュースのインタビューの中で、「出国したい米国民のための安全なルートがある」と明らかにしたが、撤退期限までに全ての出国希望者を避難させることはできないだろうと述べた。

2021年8月23日/アフガニスタン、首都カブールの国際空港、ボーイングC-17グローブマスターに乗り込むアフガンの家族(U.S. Marine Corps/AP通信)

アフガニスタン戦争の基本情報

・1996年~2001年、タリバンは国内の全ての女性にブルカ(目の部分だけを開けるイスラム教のヴェール)の着用を強制し、女性の教育を10歳未満に限定し、即決処刑を含む残忍な刑罰を推進した。

・アメリカ主導の連合軍は2001年10月にアルカイダやタリバンを含むジハード組織を追放した。その中には9.11同時多発テロの首謀者であるウサーマ・ビン・ラーディンも含まれていた。

・アメリカはアフガニスタン政府と軍に800億ドル(約9兆円)以上投資し、武器と兵力の強化を支援した。

・2020年2月、アメリカのドナルド・トランプ前大統領はタリバンとの歴史的な和平合意に達した。

・タリバンはアメリカとの取引の中でアフガニスタン政府と和平に向けた協議を推進すると約束したが、交渉は破綻した。

・タリバンやイスラム国(ISIS)を含むジハード組織は連合軍への攻撃を再開し、戦争は20年たった今も続いている。

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