◎保健当局のまとめによると、7月28日の新規陽性者数は4,980件、死亡者数は過去最高に迫る365人、累計死亡者は8,000人を超えたという。
アメリカのジェフリー・デローレンティス副大使は29日、国連安全保障理事会に「ミャンマー軍に暴力を止めるよう圧力をかけなければ、多くの国民がコロナウイルスと飢餓で死ぬ」と警告した。
デローレンティス副大使はミャンマーの現状について、「コロナの急拡大、2月の軍事クーデターから続いている軍の残虐行為、そして行政の失敗が壊滅的な健康災害を引き起こしている」と述べた。「軍の暴力により数十万人が避難民になり、最大280万人が深刻な食糧不足に直面する可能性があります...」
国連のミャンマー人権特別報告者であるトム・アンドリュース氏も安保理と国連に対し、ミャンマー軍にコロナの封じ込めと国民に支援を提供するよう圧力をかけなければならないと呼びかけた。
アンドリュース氏は安保理と国連に、「救えるはずの多くの命が失われている」と警告した。「国連はコロナ危機を無視する軍事政権の攻撃、嫌がらせ、拘留を阻止するために直ちに行動しなければなりません。軍は反抗的な医師、看護師、治療を必要としている人を殺します。私たちはミャンマーの国民にワクチンと医療を提供しなければなりません」
ミャンマー軍は2月1日の軍事クーデターで政府を打倒し、全国に発展した大規模な抗議活動を武力で制圧した。
抗議者の中には公的医療機関で働く数千人の医療従事者が含まれており、コロナの感染拡大前に医療制度はほぼ崩壊した。そして6月、デルタ株は感染者の急増を引き起こし、治療を求める人が病院に押し寄せ、地域医療は大混乱に陥った。
軍は一般市民への酸素販売を禁じているが、人々はシリンダーを販売(または充填)している店舗の外で列を作っている。
保健当局のまとめによると、7月28日の新規陽性者数は4,980件、死亡者数は過去最高に迫る365人、累計死亡者は8,000人を超えたという。しかし、多くの専門家がミャンマーの現在の医療体制は極めて脆弱であり、症例数と死亡者数は過少評価されている可能性が高いと指摘している。
保健当局の記録によると、軍事クーデターが発生する以前の1日あたりの検査数は20,000件前後だったが、クーデター以降急減し、現在は9,000~15,000件ほどしか行えていないという。
死亡者数はほぼ間違いなく過少評価されている。現地メディアによると、軍は医療機関以外で死亡した人を集計していないという。
ロイター通信の取材に応じたある女性は、「刑務所でコロナに感染し、母親に移したと信じている」と語った。女性は抗議活動に参加し逮捕され、4カ月間拘留された。
女性は混み合った刑務所から解放され、母親と再会したが、直後に発症した。「母は健康でした。しかし、私の発症から間もなく、母も感染しました。私は数日後に回復しましたが、母の容体は悪化し、食事もとれなくなりました...」
「病院に駆け込み助けてほしいとお願いしましたが、酸素がないと言われました。酸素ボンベを持っている人に貸してほしいとお願いしましたが、断られました。病院の周りで酸素を探しましたがダメでした。母は呼吸困難で死にました」
酸素は現在、ミャンマーで最も価値のある商品のひとつになっている。ミン・アウン・フライン司令官は現在の酸素不足について、「不安に駆られた一部の市民が買いだめしている」と主張し、責任は軍ではなく一部の個人にあると示唆した。
軍は買いだめを防ぐために、個人販売業者への酸素供給を制限している。しかし、一部の関係者によると、軍は軍病院に酸素を集めている可能性があるという。
非政府組織で働く医師はロイター通信の取材に対し、「公立病院で働いている私の友人は、治安部隊に酸素を没収されました」と述べた。
ミャンマーの医療体制は元々脆弱だったが、アウンサンスーチー氏を含む民主政府当局者は検査、追跡、そしてロックダウンを組み合わせることでコロナの抑え込みに成功した。
香港大学の公衆衛生専門家であるピュー・ピュー・シンザウ博士は、「軍事クーデターは第三波の発生前に医療システムを崩壊させた」と指摘した。医療従事者は軍事政権に反対するストを行ったグループのひとつだった。
最大都市ヤンゴンの葬儀場で父親の火葬に立ち会った男性はロイター通信に、「霊柩車の到着を3日以上待った」と語った。
ヤンゴン地域行政評議会の責任者によると、7月19日に受け付けたコロナ患者の遺体は約1,500体だったという。19日の公式死亡者数(全国)は281人だった。責任者はロイター通信に、「ヤンゴンの墓地は1日300体しか処理できない」と語った。