◎ブラジルではコロナウイルスの新規陽性者数と死亡者数が一時的に減少したことで楽観的な見解が広がり、一部の地域では制限の緩和が始まっている。
ブラジルのリオデジャネイロ市長は23日、州当局のコロナ制限緩和に伴い、サッカースタジアムの運用を含むイベント等を再開すると発表した。
ブラジルではコロナウイルスの新規陽性者数と死亡者数が一時的に減少したことで楽観的な見解が広がり、一部の地域では制限の緩和が始まっている。
しかし、インドで最初に確認されたデルタ株を含む変異種は世界で猛威を振るっており、世界の新規症例と死亡者を確実に押し上げている。世界保健機関(WHO)は先日、世界のウイルスは数カ月以内にデルア株に置きかわると予測した。
ワクチン接種を進めているイギリスの1日あたりの死亡者数は7月19日の制限解除以降も2桁を維持しているが、新規症例は連日4万件前後を記録し、事態の悪化は避けられないという意見が相次いで寄せられている。
サンパウロ大学の公衆衛生専門家、ゴンザロ・ベチーナ教授は、「イギリスと同じやり方を採用すべきではない」と懸念を表明した。「制限を一気に解除しないでください。いきなり窓を全開にしないでください。ブラジルは新しい波に飲み込まれるでしょう」
保健省は23日の声明で、人口の最も多い3州を含む一部地域でデルタ株を新たに140件確認し、デルタ株に感染していた患者12人が死亡したと述べた。
ジャイール・ボルソナロ大統領は長い間制限に反対し、コロナはいずれ季節性の風邪と同じような流行病になると主張し続けてきた。議会上院は政権のコロナ対応を厳しく非難しており、ワクチンの入手に時間がかかった経緯などを調査している。
マルセロ・ケイロガ保健相は21日の声明で、ワクチン接種を加速させることがコロナに打ち勝つ最善の方法と述べ、「ブラジルは経済活動を再開しなければならない」と強調した。「病床にはまだ余裕があります。経済活動を再開し、パンデミックに耐えるのです。耐えましょう!」
またケイロガ保健相は、デルタ株に感染した人のワクチン接種有無を確認することが重要だと指摘した。
デルタ株はコロナワクチンの防御をすり抜ける可能性が高いことが研究で明らかになっている。しかし、ワクチン接種を終えた人と終えていない人の重症化および死亡リスクには大きな差があり、アメリカのここ数週間の新規入院患者と死亡者の97%以上はワクチン未接種者だった。
ブラジルのワクチン接種は思うように進んでおらず、少なくとも1回接種した人の割合は人口の約46%、接種を終えた人は17%にとどまっている。
最大都市サンパウロ州のジョアン・ドリア州知事は、中国のシノバックワクチンを2回接種した人へのブースターショット(3回目)を検討しているリーダーのひとりである。ドリア州知事は先日、企業の活動再開を後押しし、イベントの収容人数を増やすことを許可した。
ブラジリア連邦直轄区の当局者も先週、サッカースタジアムの運用開始と収容人数を15,000人にすることを許可した。ブラジルのプロリーグが観客を入れて試合を行うのは約1年ぶり。試合の直前、保健当局は区内で初となるデルタ株の患者を確認したと発表した。
エスピリトサント連邦大学の疫学者であるエセル・マシエル教授はAP通信の取材に対し、「州知事たちはブラジルの現状を理解しなければならない」と警告した。「毎日1,000人以上が亡くなっています。完全接種率は20%未満です。ブラジルはコロナを制御できていますか?」
ブラジルの7月23日の新規陽性者数は108,732件、死亡者は1,324人、累計感染者数は1,960万件、累計死亡者はまもなく55万人を超える。
<国/接種数/1回接種率/完全接種率/7月24日時点>
アメリカ:3億4,000万回 56% 48%
イギリス:8,300万回 68% 54%
ドイツ:8,800万回 60% 48%
イタリア:6,400万回 61% 47%
フランス:6,800万回 58% 44%
カナダ:4,600万回 71% 53%
日本:7,400万回 35% 23%
ブラジル:1億3,000万回 46% 17%
中国:15億1,000万回 49~54%(推定)
インド:4億2,300万回 24% 6%
イスラエル:1,100万回 66% 61%
世界:38億回 27% 14%
アジア:23億9,000万回 27% 10%
北米:4億7,600万回 46% 36%
ヨーロッパ:6億1,400万回 47% 37%
EU:4億4,500万回 57% 45%
南米:2億4,200万回 40% 18%
アフリカ大陸:6,3300万回 3% 2%