◎シドニーの外出禁止令は6月26日に発出され、7月9日に終了する予定だった。
2021年7月7日/オーストラリア、ニューサウスウェールズ州シドニーの繁華街(Rick Rycroft/AP通信)

オーストラリアのニューサウスウェールズ州(NSW)当局は7日、最大都市シドニーのロックダウン期間を1週間延長すると発表した。

NSWのグラディス・ベレジクリアン州首相は声明で、「医療当局のアドバイスに基づき、シドニーのロックダウンの期間を7月16日まで延長することに決めた」と述べた。

シドニーの外出禁止令は6月26日に発出され、7月9日に終了する予定だった。

しかし、一部の施設で小規模なクラスターが発生し、当局はインドで最初に確認されたデルタ株の感染拡大に懸念を表明していた。

NSWのブラッド・ハザード保健相は7日、「コロナワクチンの接種は思うように進んでおらず、デルタ株の感染拡大が懸念される」と警告した。

NSW当局は6月27日にブルー・マウンテンズ、セントラルコースト、ウロンゴンを含む地域全体に外出禁止令を拡大しており、これらの地域も7月9日に解除される予定だったが、1週間延期が決まった。これに伴い、学校も休校を継続する。

ベレジクリアン州首相はコロナワクチンの接種を呼びかけたうえで、「接種率が低いままだと、ロックダウンと解除を何度も繰り返すことになるだろう」と述べた。

オーストラリアのワクチン接種は他の主要先進国に比べると大きく遅れており、少なくとも1回接種した人の割合は人口の約25%、完全に接種を終えた人は約9%にとどまっている。

<接種数/少なくとも1回接種した人の割合(全人口)/7月7日時点
アメリカ:3億3,100万回/54%
イギリス:7,800万回/67%
ドイツ:7,900万回/56%
イタリア:5,400万回/57%
フランス:5,700万回/51%
カナダ:4,000万回/69%
日本:5,100万回/26%
オーストラリア:830万回/25%
中国:13億2,000万回/46~51%(推定)
インド:3億5,100万回/21%
イスラエル:1,100万回/65%

世界:32億5,000万回/24%
アジア:20億2,000万回/25%
北米:4億4,300万回/43%
ヨーロッパ:5億2,900万回/42%
EU:3億8,200万回/52%
南米:1億9,400万回/32%
アフリカ大陸:5,300万回/3%

保健当局のまとめによると、7月7日の全国の新規陽性者数は27件で、そのうち13件はデルタ株だったという。

6月16日に陽性と診断されたリムジン運転手に関連するクラスターは300人以上に拡大した。この運転手はシドニー空港からアメリカの飛行乗務員を輸送した際、感染したと考えられている。

オーストラリアは先週、人口のほぼ半分が集中する東海岸、西海岸、北海岸の都市に外出禁止令を科した。なお、ロックダウンの期間は地域によって異なり、3日で終了した地域もあった。

オーストラリアのワクチン接種は遅れているが、感染拡大の都度、厳しい制限を発出することで症例数と死亡者数を抑えてきた。6月末時点の累計感染者数は約30,000件、死亡者は約900人で、他の主要先進国より圧倒的に少ない。なお、昨年10月から4月まで死者ゼロを維持していた。

現地メディアによると、シドニーの医療機関に入院しているコロナ患者は37人で、そのうち7人は集中治療室(ICU)で治療を受けているという。

2021年7月7日/オーストラリア、ニューサウスウェールズ州シドニーの繁華街(Rick Rycroft/AP通信)
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