◎北朝鮮の金正恩 党総書記は長引くコロナ封鎖とそれに伴う食糧不足の発生に懸念を表明したうえで、経済を立て直すよう政府高官および関係当局に命じた。
6月15日、北朝鮮の金正恩 党総書記は長引くコロナ封鎖とそれに伴う食糧不足の発生に懸念を表明したうえで、経済を立て直すよう政府高官および関係当局に命じた。
国営の朝鮮中央通信社は、金正恩がアメリカ、韓国、日本などに関する発言をしたかどうかについては言及しなかったが、「党総書記は現在の国際情勢に対してどのように対処すべきか議論するよう高官に命じた」と報じた。
北朝鮮の経済はアメリカのドナルド・トランプ前大統領との核交渉が崩壊して以来、下降し続けている。昨年夏の洪水、コロナの感染拡大による国境封鎖、中国との貿易の減少は北朝鮮の経済に深刻な影響を与えた。
韓国のシンクタンク、韓国開発研究所は先月、北朝鮮は今年数百万トンの食糧不足に直面する可能性があると述べた。
一部のアナリストは、「飢餓の兆候はまだ見られないが、食糧と為替市場の弱体化は国民のパニックを引き起こす可能性がある」と指摘している。
朝鮮中央通信社によると、金正恩は15日に開催された朝鮮労働党の会議の中で「国の食料事情は緊張している」と述べ、農業生産を増やす方法を見つけるよう関係当局に命じたという。
また、コロナ感染者ゼロの状態を維持する新たな政策を定めたと述べたうえで、国境封鎖を維持すると示唆した。
韓国の専門家は、「北朝鮮の健康インフラは極めて貧弱で、主要な同盟国兼ライフラインである中国との国境が実際は完全封鎖されていないことを考えると、コロナ症例ゼロはあり得ない」と主張している。
朝鮮中央通信社によると、金正恩は2021年上半期の経済再建に向けた全国的な取り組みを検討するために党大会を召集したという。金正恩は演説の中で、不利な状況と課題に対処する関係当局に感謝の意を表明し、国の産業生産高は昨年から25%増加したと主張した。
朝鮮中央通信社は会議は継続されると伝えたが、具体的な期間は明らかにしなかった。
韓国の一部の専門家は、北朝鮮国内で1994年から1998年頃に発生した壊滅的な飢餓に匹敵する食糧危機が発生する可能性があると主張している。この期間中に餓死または栄養不足に関連する病で亡くなった市民は200万~350万人と伝えられているが、正確な死者数は明らかにされていない。