◎フランス南東部ドローム県の小さな町を訪問していたエマニュエル・マクロン大統領が見知らぬ男に平手打ちされた。
現地メディアによると、フランス南東部ドローム県の小さな町を訪問していたエマニュエル・マクロン大統領が見知らぬ男に平手打ちされたという。
ローヌワインの生産で有名なドローム県のタン=レルミタージュを訪れたマクロン大統領は、柵の後ろにいる人々の目の前に移動し、挨拶していた。
ソーシャルメディアで拡散された動画には、緑色のTシャツを着た男がマクロン大統領の顔を平手打ちし、拘束される様子が映っていた。
AFP通信によると、事件に関与した男2人が逮捕されたという。マクロン大統領はビンタ事件を「孤立した出来事」と呼んだ。
マクロン大統領はル・ドフィネ・リベレ紙に、「公の議論を暴力で引き裂くことは許されない」と述べた。
マクロン大統領は事件について、「特に懸念することはない」と述べた。「私は柵の後ろにいる人々に挨拶し、一緒に写真を撮りました。私は人々と話せて満足しています」
AFP通信などによると、容疑者はマクロン大統領をビンタした後、「マクロン主義に打ちのめされた」と述べ、王国時代の雄叫びとして知られている「モンジョイ!サン・ドニ!」と大声で叫んだという。
マクロン大統領のすぐ後ろに立っていたボディガードは容疑者の動きに反応したが、ビンタを阻止することはできなかった。ビンタ後、ボディガードは太い腕でマクロン大統領を引き寄せ、別のボディガードが容疑者を拘束したと伝えられている。
AFP通信によると、マクロン大統領はビンタに反応して顔をそらしたように見えたが、かわすことはできなかったという。
事件後、ドローム県のアレックス・ペリン検察官は声明で、「警察はマクロン大統領を平手打ちした男と、同行者の男を拘束した」と述べた。平手打ちした動機はまだ分かってない。
報道によると、容疑者はふたりとも28歳で、武器は所持しておらず、前科もなかったという。警察は8日、「容疑者たちは公的な地位にある人物に対する暴力の疑いで拘留されている」と述べた。
政治家たちは事件を即座に非難した。
2018年にクリームパイを投げつけられた左派のエリック・コクレル議員はマクロン大統領との連帯を示した。「民主主義は議論や対話で構成されるものであり、暴力は許されません」
マクロン大統領と対立する極右のマリーヌ・ル・ペン党首(国民連合)も容疑者を強く非難した。「共和国の大統領に対する攻撃を許すことはできません。容疑者は強く非難されるでしょう」
中道派のマクロン大統領は先週、コロナウイルスの影響で疲弊した地方都市を回る「ツアー・ド・フランス」と呼ばれる遊説イベントを開始すると発表した。
マクロン大統領はインタビューの中で、「遊説はコロナの先に進むことを目的としており、最前線で働く国民との関りを深めたい」と述べた。
2022年の大統領選挙はマクロン大統領とル・ペン党首の一騎打ちになると予想されている。