◎ステパン・ラティパウ氏は昨年9月、独裁者のアレクサンドル・ルカシェンコ大統領を非難する野党に手を貸した容疑で逮捕された。
ベラルーシの人権団体によると、昨年8月の大統領選挙の抗議活動に参加し逮捕された活動家が6月1日に首都ミンスクの裁判所で行われていた法廷審問中に自分の首を刺したという。
ビアスナ人権センターはウェブサイトに投稿した動画の中で、ステパン・ラティパウ氏は法廷で座っていた時にペンで自分の首を刺したと述べた。その後、ラティパウ氏は裁判所から運び出され、救急車で病院に搬送されたと伝えられている。
ビアスナ人権センターによると、ラティパウ氏は病院で処置を受けたが、意識不明の重体だという。同氏の弁護士を務めるオルガ・バチュク氏はメディアの取材にはまだ応じていない。
ラティパウ氏は昨年9月、独裁者のアレクサンドル・ルカシェンコ大統領を非難する野党に手を貸した容疑で逮捕された。
ルカシェンコ大統領は論争の的になった不正大統領選挙で圧倒的勝利を収めたと勝手に主張し、それ以来野党勢力と支持者らを厳しく弾圧してきた。ベラルーシ国家保安委員会(KGB)と警察当局は、抗議活動に参加した野党の政治家を含む35,000人以上を逮捕し、数千人を殴打した。
アメリカとEUは先週、反対派のジャーナリストを逮捕するために民間の旅客機を恣意的に強制着陸させたルカシェンコ大統領の暴挙を厳しく非難し、新たな制裁を科すと発表した。
ビアスナ人権センターによると、ラティパウ氏は法廷審問の中で、「当局は私の父に、(ラティパウ氏の)容疑を認めなければ、認めるまで身体罰を与えると脅していた」と述べた。
またラティパウ氏は、「当局は私の親戚や隣人に対する刑事訴訟を約束した」と付け加えた。
ベラルーシ政府はこの問題に関する声明をまだ発表していない。
一方、現地メディアによると、ベラルーシ政府は1日、外国居住許可保有者を含むほとんどの市民の出国を一時的に禁止したという。
国境管理委員会による規則の強化は、アメリカとEUの新たな制裁に対抗する措置と伝えられている。一部の専門家は、ルカシェンコ大統領は国内で活動している外国企業および個人を人質に取るつもりかもしれないと指摘した。
8月の大統領選挙に立候補した野党党首のスヴャトラーナ・ツィハノウスカヤ氏は選挙後リトアニアに亡命を余儀なくされ、その他の野党関係者も逮捕を恐れ、ベラルーシを離れた。