◎日本のコロナワクチン接種は極めて順調に進んでおらず、少なくとも1回ワクチンを接種した人の割合は人口の約4%にとどまっている。
2021年5月21日/IOCのジョン・オーツ副会長の話を聞く東京2020五輪の武藤敏郎理事と橋本 聖子会長(Nicolas Datiche/AP通信/POOL)

5月21日、国際オリンピック委員会(IOC)は2か月後に開幕する予定の東京2020五輪について、開催都市の東京がコロナウイルスの非常事態宣言下に置かれていたとしても大会を開催すると誓った。

IOCのジョン・コーツ副会長はオンライン会見の中で、「現地の医療専門家がオリンピックの開催に反対したとしても、大会は予定通り行われる」と力強く語った。「IOCは世界保健機関(WHO)からのアドバイス、その他の関係機関の科学的および医学的アドバイス、そして私たちが策定したプレイブックに基づき、満足のいく対策を実施します。東京2020は安全と健康に配慮した大会になるでしょう」

「私たちが策定した計画はアスリートと日本の人々の安全と安心を守るために最悪の状況を考慮しています。非常事態宣言下でも大会は開催されるのか?という質問の答えは、絶対に開催されるです」

政府は現在、9つの地域に非常事態を宣言しており、首都東京の感染終息は最重要課題のひとつと考えられてる。専門家によると、東京の新規陽性者数は減少傾向にあるが、非常事態宣言を解除するのは時期尚早だという。

コーツ副会長は、「より多くの日本人が完全にコロナワクチンを接種すれば、大会の開催に反対する意見は減少するかもしれない」と述べた。NHKが行った世論調査によると、回答者の半数以上が大会の中止もしくは再延期を支持したという。

コーツ副会長は、IOCは仕事を確実に遂行しなければならないと強調した。「東京2020は私たちの仕事です。私たちは大会に参加する全ての選手、関係者、そして日本の国民に安全な五輪を保証するために働きます」

IOCは東京の選手村に入る関係者の80%以上がワクチン接種を受けると予想しており、一般市民との接触も大幅に制限されるため、コロナウイルスの感染拡大を引き起こす可能性は低いと主張した。

2021年5月21日/日本、東京2020五輪組織委員会の橋本 聖子会長(Nicolas Datiche/AP通信/POOL)

日本のコロナワクチン接種は極めて順調に進んでおらず、少なくとも1回ワクチンを接種した人の割合は人口の約4%にとどまっている。

<ワクチン接種数/少なくとも1回接種した人の割合/5月22日時点
アメリカ:2億7,900万回/48%
イギリス:5,800万回/55%
ドイツ:4,400万回/39%
イタリア:2,900万回/33%
フランス:3,100万回/32%
カナダ:2,000万回/49%
日本:800万回/4%
中国:4億6,800万回/20%
インド:1億8,800万回/11%
イスラエル:1,100万回/63%

東京都医師会の尾﨑 治夫会長は地元メディアの取材に対し、「政府が緊急事態宣言を解除しないことを願っている」と述べた。

尾崎会長によると、政府のコロナウイルス対策は機能しておらず、ワクチン接種もほとんど進んでいないため、焦って制限を緩和すれば感染状況はさらに悪化するという。

尾崎氏は週刊誌アエラのインタビューの中で、「緊急事態宣言(期限5月31日)が延長されなかった場合、感染力の強い変異種は急速に広がるだろう」と述べた。「宣言を解除すれば新たな感染拡大を引き起こし、東京2020の開催は絶望的になる可能性があります...」

東京2020の開催と感染再拡大に懸念を表明している個人や団体はソーシャルメディアなどを通して政府当局に働きかけている。東京保険医協会は先週、菅 義偉首相、小池 百合子東京都知事、丸川 珠代オリンピック相、組織委員会の橋本 聖子会長宛ての書簡で大会中止を要請した。

橋本会長は21日の会見で、国民の懸念に対処した。「海外から多くの選手や関係者が集まることに不安を感じている方、医療システムにかかる負担を懸念している方がいることは事実です」

橋本会長によると、大会期間中に来日する利害関係者は当初予定していた18万人から約8万人まで減少したという。

<関係者の大まかな内訳>
・五輪関係者:約59,000人
・放映権関係者:約17,000人
・メディア関係者:約6,000人

橋本会長は、大会期間中、医師230人と看護師310人が毎日必要なため、東京と他の地域の約30の病院に応援を依頼したと述べた。また、医療技術を持っている退職した潜在医療従事者にも応援を依頼する可能性があるという。

一方、日本オリンピック委員会の山口 香織委員は現地メディアのインタビュー中で、IOCは追い詰められているとほのめかした。「もうキャンセルできないところまで来ています...」

IOCは収入の約75%をスポンサーの放映権、18%をスポンサーから得ている。

ある医療専門家はソーシャルメディアで、「コロナワクチンの接種を爆発的に加速させなければならない」と主張した。「政府は国民の生活に必要不可欠な業務以外は全て停止し、コロナワクチンの接種に資本を投入しなければなりません。憲法改正や選挙はコロナが終息するまで忘れてください」

「野党の力も借りてください。利用可能な資本は全てコロナワクチンの接種に投入してください。東京2020の開幕までに少なくとも1回ワクチンを接種した人の割合をイギリスレベルまで引き上げることができれば、懸念は払拭されると思います...」

東京五輪は7月23日、パラ五輪は8月24日に開幕する。

東京オリンピック・パラリンピックの組織委・森喜朗会長インタビュー

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