◎COVAXイニシアティブが取り扱うワクチンの大多数を供給しているセラム・インスティチュート・オブ・インディア（SII）は、3月以来ワクチンを国外に出荷していない。
国連機関によると、インドのコロナ危機は低所得国にコロナワクチンを平等に配布するCOVAXイニシアティブに大打撃を与えており、約1億4,000万回分の配布計画に遅れが生じているという。
COVAXイニシアティブが取り扱うワクチンの大多数を供給しているセラム・インスティチュート・オブ・インディア（SII）は、3月以来ワクチンを国外に出荷していない。
ユニセフは声明でG7（米、英、独、日、仏、伊、加）とEUの指導者らに、COVAXに提供するワクチンを増やすよう呼びかけた。現地メディアによると、ユニセフの当局者は来月イギリスで関係諸国と会談する予定だという。
ユニセフによると、裕福な主要先進国は自国のワクチン展開を保証したうえで、約1億5,300万回分のコロナワクチンをCOVAXに寄付できるという。
SIIはCOVAXに約10億回分のアストラゼネカワクチンを出荷する予定だが、3月以来供給はストップしている。ユニセフによると、遅れが改善される見通しは立っていないという。
ユニセフのCOVAX供給担当、ジャン・ガンジー氏は声明の中で、「遅れを取り戻したいが、改善できるかどうかはインドの感染状況次第」と述べた。「インドの状況は不確実です。私たちは悪化を懸念しています」
ユニセフは現在、G7とEUに余剰ワクチンを寄付するよう呼びかけている。アメリカ、イギリス、カナダなどのワクチン契約数は全国民に数回接種できる量に達しており、一部の人権専門家から非難されている。
イギリスのボリス・ジョンソン首相は余剰契約分を貧しい国々に寄付すると2月に約束したが、具体的なスケジュールはまだ示されていない。アメリカも同様で、インドの危機を考慮してワクチンの寄付を決めた国はG7ではフランスだけである。
ユニセフは16日、G7の6月～8月の国内供給ワクチンの20％を寄付すれば、貧しい国々の接種に違いをもたらすことができると述べた。
フランスは6月中旬までに50万回分、ベルギーは数週間以内に10万回分をCOVAXに寄付すると約束した。
スペイン、スウェーデン、アラブ首長国連邦（UAE）も、国内のワクチンの一部を寄付すると申し出ている。
インドの感染爆発は新たな変異種の発生や、インド太平洋地域の感染再拡大につながる可能性があると懸念されている。
ユニセフのヘンリエッタ・フォア事務局長は声明で、「ネパール、スリランカ、モルディブなどのアジア諸国だけでなく、アルゼンチンやブラジルでも感染が急拡大している」と述べた。「開発途上国の医療制度は崩壊の危機に瀕しています。貧しい家族や子供にかかる負担は計り知れません」
アフリカ大陸のワクチン接種はCOVAXイニシアティブに大きく依存している。しかし、一部の国々ではアストラゼネカワクチンに対する不信感が拡大しており、接種を躊躇して地域もあると伝えられている。
また、専門家によると、医療従事者の数が限られている国では人員をワクチン接種に回す余裕がなく、ワクチンを保管するインフラも整備されていないため、供給できても国民に接種することは困難だという。
ユニセフのCOVAX供給担当、ジャン・ガンジー氏は、「アフリカの多くの医療従事者と最前線で戦っている関係者たちはワクチンを接種していない」と述べた。「しかし、一部の裕福な国々は10代への接種を開始しています...」
WHOによると、ルワンダ、セネガル、ガーナなどはCOVAXが提供した微量のワクチンをまもなく使い切る予定だという。
＜ワクチン接種数／少なくとも1回接種した人の割合／5月17日時点＞
アメリカ：2億7,100万回／47％
イギリス：5,600万回／54％
ドイツ：3,900万回／36％
イタリア：2,700万回／31％
フランス：2,800万回／29％
カナダ：1,800万回／44％
日本：560万回／3％
中国：3億9,300万回／16％
インド：1億8,200万回／10％
イスラエル：1,100万回／63％
世界：14億5,000万回／9％
アジア：7億2,200万回／5％
北米：3億1,900万回／33％
ヨーロッパ：2億8,700万回／26％
EU：1億9,500万回／31％
南米：9,400万回／15％
アフリカ大陸：2,400万回／1％
