◎国立疾病管理センターの当局者は声明で、「今回の感染爆発と二重変異種の因果関係を完全に証明することはできないが、関連している可能性が高い」と述べた。
2021年5月5日/インド、カルナータカ州バンガロールの採石場に設置された臨時火葬場(AP通信/Aijaz Rahi)

インド政府によると、3月末頃から始まったコロナウイルスの致命的な第二波は、国内で新たに確認された「二重変異種(変異体)」が関連している可能性が高いという。

国立疾病管理センターの当局者は声明で、「今回の感染爆発と二重変異種の因果関係を完全に証明することはできないが、関連している可能性が高い」と述べた。

現地メディアによると、国内の医療用酸素の需要は4月の7倍に増加したという。政府は医療用酸素の調達だけでなく、工業用酸素の転用も進めているが、感染者の急増は供給を完全に上回っている。

保健当局のまとめによると、5月5日の新規陽性者数は世界記録を更新する412,262件、死亡者数も同国の過去最高を更新する3,980人、過去7日間の新規症例は270万件を超えた。しかし、専門家は、感染者と死亡者数は過少報告されていると信じている。

タイムズ・オブ・インディア紙によると、5日深夜、南部のチェンガルペット町にある政府の医科大学病院で酸素供給が突然低下し、コロナ患者11人が死亡したという。病院当局者は同紙の取材に対し、「先週酸素供給用のパイプを修理し、それ以来酸素の消費量が倍増していた」と述べた。

連邦政府の科学顧問、K.ヴィジェイ・ラギャバン博士は5日の記者会見で、第二波が収束する見通しは全く立っていないと述べた。「保健省の専門家チームは今回の第二波の危険性を予期できていませんでした。蔓延しているコロナウイルスの感染力が高いことを考えると、第二波がさらに巨大な第三波になることは避けられないでしょう」

「第三波がいつ発生するかを明確に示すことはできません。私たちは新しい波に備える必要があります。インドの全国民は公衆衛生対策を徹底しなければなりません」

インド政府は大規模な酸素プラントを各地に設置し、極低温タンカー、ガスシリンダー、液体酸素を輸送するためにスクランブルをかけているが、政府当局者によると、病院の酸素需要は4月の7倍に増加したという。政府は4日の声明で、中東バーレーンとクウェートから酸素を輸送するための海橋を建設したと述べた。

国内のほとんどの病院は、患者に酸素を直接供給できる独立したプラントを持っておらず、極低温タンカーで輸送される液体酸素に依存している。しかし、感染者の急増に直面した首都ニューデリーなどの地域は液体酸素の輸送が間に合わず、多くの重症患者が酸素を求め、死にかけている。

2021年5月5日/インド、首都ニューデリーのコロナ検査施設(ロイター通信)

政府の報告によると、8つの州で1日に採取した約13,000のサンプルのうち、3,500以上が二重変異種(B.1.617の亜種)だったという。確認された地域は感染爆発に直面しているマハーラーシュトラ州、カルナータカ州、西ベンガル州、グジャラート州、チャッティースガル州など。

首都ニューデリーの政府当局者は、4月頃から二重変異種と感染急拡大に関連はないと主張し、一部メディアが報じたイギリス、南アフリカ、ブラジルの変異種との因果関係も否定していた。

しかし、ウイルス学者のシャヒッド・ジャミール博士は現地メディアの取材に対し、「政府は変異種を軽視していた」と述べた。「政府は2021年2月の中頃から国内の変異種のチェックを開始しました。政府は現在、全サンプルの1%強をチェックし、変異種の蔓延状況を確認しています。イギリスのピーク時の処理能力は5~6%でした。政府は変異種の追跡と検査体制を速やかに強化しなければなりません」

一方、ハーシュ・ヴァルダン保健相は5日、「インドは液体酸素を大量に保管しているが、それを輸送する手段は限られている」と述べた。酸素の需要は北部と西部で高まっているが、液体酸素は主にインドの東部で生産されており、輸送には時間と手間がかかる。

連邦政府の科学顧問、ラギャバン博士はAP通信の取材に対し、「インドは非常に重要な時期を迎えている」と述べた。

アメリカ、イギリス、ドイツ、およびその他のいくつかの国は、インドの脆弱な健康インフラにかかる圧力を緩和させるための支援を急いでいる。インドのワクチン生産はアメリカがコロナワクチンの知的財産保護の一時的な停止を支持したため、後押しされると期待されている。

インドの米外交官、ダニエル・B・スミス氏はAP通信の取材に対し、「アメリカがインドに提供したワクチンの原材料を使えば、約2,000万回分のアストラゼネカワクチンを製造できる」と述べた。

世界最大のワクチンメーカーであるセラム・インスティチュート・オブ・インディアのアダール・プーナワラCEOは先月、ジョー・バイデン大統領に、アメリカが課しているワクチンの原材料の禁輸措置を解除するよう訴えていた。

一方、現地メディアは、「インド政府は西側諸国から輸送された緊急医薬品の配布手順の考案に7日かかった」と報じた。

<ワクチン接種数/少なくとも1回接種した人の割合/5月6日時点
アメリカ:2億4,800万回/44%
中国:2億8,500万回/12%
インド:1億5,800万回/9%
イギリス:5,100万回/51%
ブラジル:4,500万回/14%
ドイツ:3,100万回/29%
トルコ:2,400万回/17%
ロシア:2,000万回/9%
イスラエル:1,000万回/62%
日本:350万回/2%

世界:10億2,000万回/8%
アジア:5億6,700万回/4%
北米:2億8,700万回/30%
ヨーロッパ:2億3,900万回/22%
EU:1億5,800万回/26%
南米:8,000万回/13%
アフリカ1,900万回/1%

<インドの新規陽性者と死亡者>
2月1日:8,635件/94人
2月8日:9,110件/78人
2月15日:9,121件/81人
2月22日:10,584件/78人
3月1日:12,286件/91人
3月8日:15,388件/77人
3月15日:24,492件/131人
3月22日:40,715件/199人
3月29日:56,211件/271人
4月1日:81,466件/469人
4月8日:131,968件/780人
4月15日:217,353件/1,185人
4月18日:273,802件/1,619人
4月20日:295,158件/2,023人
4月21日:314,644件/2,104人
4月22日:332,921件/2,263人
4月23日:346,786件/2,624人
4月24日:349,691件/2,767人
4月25日:352,991件/2,812人
4月26日:323,023件/2,771人
4月27日:362,757件/3,293人
4月28日:379,257件/3,645人
4月29日:386,555件/3,498人
4月30日:401,993件/3,523人
5月1日:392,488件/3,689人
5月2日:368,060件/3,417人
5月3日:357,229件/3,449人
5月4日:382,146件/3,780人
5月5日:412,262件/3,980人

2021年5月5日/インド、カルナータカ州バンガロールの採石場に設置された臨時火葬場(AP通信/Aijaz Rahi)
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