◎人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチの研究者、リナ・ユン氏は先月発表した報告の中で、「中国からの食料の輸入は、ほぼ2か月間途絶えている」と述べた。
4月8日、北朝鮮の金正恩は首都平壌で開催された朝鮮労働党大会の中で、経済的困難がもたらす「危機」に備えるよう国民に促した。
金正恩は以前、コロナウイルス、アメリカ主導の厳しい経済制裁、昨年夏の台風災害などの影響で、自国の経済は史上最悪レベルまで悪化していると述べたが、飢饉を示唆する発言をしたのはこれが初めてと伝えられている。
韓国の監視グループによると、北朝鮮国内で飢餓や人道的災害が発生しているという兆候は現時点では見られないという。グループの当局者は、金正恩は就任以来最大の危機に直面していると述べた。
金正日(キム・ジョンイル)政権下の1994年から1998年頃にかけて発生した大規模な飢饉では、栄養失調やそれに関連する病で200万~350万人が死亡したと伝えられている。
朝鮮中央通信社によると、金正恩は会議の中で、「私たちの前には多くの障害と困難が立ちはだかっています」と述べたという。「中央委員会とすべての組織に、困難な行進を行うよう頼むことを決心しました。今年の党大会の目標を達成するためには、全国民の驚異的な努力が必要です」
金正恩は4月6日の党大会初日の演説で、「国は史上最悪の危機に直面しており、労働党は国民の生活を改善させなければならない」と警告していた。
金正恩は今年1月の全国党大会の中で、より強力な自立経済を構築し、輸入への依存を減らし、より多くの製造品や農作物を作るよう当局に命じた。しかし、北朝鮮を研究する専門家たちは、「北朝鮮の問題は何十年にもわたる誤った管理、鎖国、核開発計画に対する厳しい経済制裁などがもたらしたものであり、簡単に打破できるものではない」と指摘する。
北朝鮮はコロナウイルスの影響で国境を封鎖し、経済のライフラインである中国との貿易も停止せざるを得なくなった。
AP通信によると、北朝鮮の最大の貿易相手国であり中国との2020年の貿易は、国境を封鎖した影響で前年から80%減少したという。
韓国の専門家は、「北朝鮮の脆弱な医療システムはコロナウイルスの感染拡大に対処できないため、国境を封鎖することが最も有効な感染予防対策になる」と指摘した。
一方、韓国統一部のチャ・ドクチョル副報道官は4月9日の記者会見で、「北朝鮮が中国との国境の管理を容易にする準備を進めている兆候が見られます」と述べた。「金正恩は輸入品の消毒に関する新しい法律を承認したと伝えられています」
韓国のメディアによると、北朝鮮の農村部の主食であるトウモロコシの価格は大きく上昇しており、1kgの価格が1カ月の賃金を超えることもあるという。
人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチの研究者、リナ・ユン氏は先月発表した報告の中で、「中国からの食料の輸入は、ほぼ2か月間途絶えている」と述べた。「物乞いは増え続けており、国境付近で餓死した人もたくさんいます。石鹸、歯磨き粉、電池...生活に必要な品はどれも不足しています」