◎EUの主要国であるドイツ、フランス、イタリア、スペインがアストラゼネカワクチンの使用を一時停止した。
◎EU27か国とイギリスで同社のワクチンを接種した1,700万人以上のうち、血栓の発生を報告した人は37人。
3月15日、EUの主要国であるドイツ、フランス、イタリア、スペインは、アストラゼネカワクチンの使用を一時停止すると発表した。
アストラゼネカワクチンを接種したごく一部の人から血栓の発生が報告されているが、同社と世界保健機関(WHO)はワクチン接種が血栓の発生につながったという証拠はないと主張している。
欧州医薬品庁(EMA)はアストラゼネカワクチンに関する専門家の調査結果を検討し、措置を講じる必要があるかどうかを判断する会議を3月11日に開催している。
ドイツのイェンス・シュパーン保険相は声明で、「ワクチンを接種した人の脳の血栓の症例(7件)のさらなる調査を求めるワクチン規制当局(ポールエーリッヒ研究所)の助言に基づき、アストラゼネカワクチンの一時停止を決めました」と述べた。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、少なくとも3月16日まで一時的に停止すると述べた。
イタリアの麻薬規制当局も血栓の調査に伴い一時的に停止すると発表した。停止期間は明らかにしていない。
スペインは接種を2週間停止し、専門家による安全性の検討を行うと発表した。
アストラゼネカ社によると、EU27か国とイギリスでワクチンを接種した1,700万人以上のうち、血栓の発生を報告した人は37人だったという。
EMAとEUはワクチンが血栓のリスクを高めたという証拠はないと述べ、接種を継続すべきと主張している。EMAは声明で次のように述べた。
「EUではさまざまな理由で毎年何千人もの人々が血栓を発症しています。予防接種を受けた人々の発症率は、一般の人々の発症率よりも高くはないようです」
「コロナ感染を予防するというアストラゼネカワクチンの利点は、入院、死亡、そして副反応のリスクを上回っています」
血栓は体内を移動し、心筋梗塞、脳卒中、肺塞栓症などを引き起こす可能性がある。アルトラゼネカ社によると、深部静脈血栓症、脚にしばしば発生する血栓の一種、肺塞栓症、肺の血栓を22件確認したという。
アストラゼネカワクチンは欧州諸国のワクチン展開を後押しする重要なワクチンのひとつである。また、ワクチンを貧しい国々に届ける国連支援プロジェクト、COVAXの柱としても期待されている。
ファイザーとモデルナワクチンはヨーロッパで広く流通しているが、ジョンソン・エンド・ジョンソン社の1回投与ワクチンの接種はまだ始まっていない。
アストラゼネカワクチンの一時停止を最初に決めた国はデンマークだった。保健当局によると、1人が1回目の接種後に血栓を発症し、接種から10日後に死亡したという。その後、アイルランド、タイ、オランダ、ノルウェー、アイスランド、コンゴ民主共和国、ブルガリアが一時停止を決めた。
イギリスとカナダは今のところアストラゼネカ社を支持している。
英サウサンプトン大学のグローバルヘルス上級研究員、マイケル・ヘッド博士はAP通信の取材に対し、「アストラゼネカワクチンの一時停止を正当化するデータはまだありません」と述べた。
「ワクチンの停止は感染リスクの増加につながります。また、市民は政府の見解に困惑し、アストラゼネカワクチンに疑問を持ち、接種をためらう人が増える可能性もあります」
一方、ドイツのシュパーン保健相は、「信頼するうえで最も重要なことは透明性」と強調し、1回目と2回目の接種が調査の対象になるだろうと述べた。
ドイツの保健当局は、接種を受けてから4日以上経過しても頭痛や体調不良が治まらないなど、体調がおかしいと感じた時は速やかに医師の診察を受けるよう勧めている。
ドイツ国内のアストラゼネカワクチン接種回数は300万回以上、ファイザーは約700万回、モデルナは約29万回。スペインでは約94万人がアストラゼネカワクチンを接種している。
アストラゼネカ(オックスフォード)のワクチンについて
・2回接種する必要がある。
・冷蔵庫で保存できる。
・超低温保存を必要としないため、輸送しやすい。
・18歳の以上の人々に十分な安全を保証できる。
・他社のワクチンより安い。
種類 | 保護率 接種回数 | 試験数 (公表数) | 保管条件 期間 | 費用 |
ファイザー | 95% 2回 | 43,538人 | -75℃ 解凍後5日 | 20ドル |
モデルナ | 94.5% 2回 | 30,000人 | -20℃ 6カ月 | 33ドル |
オックスフォード | 62-90% 2回 | 24,000人 | 冷蔵庫 ー | 4ドル |
スプトーニクV | 91.6% 2回 | 19,866人 | 冷蔵庫 ー | 10ドル |
ノババックス | 89.3% 2回 | 15,000人 | 冷蔵庫 ー | ー |
J&J | 重85% 中66% 1回 | 44,000人 | 冷蔵庫 3か月 | ー |
コロナウイルスワクチン:分かっていないこと
・妊娠中の女性や免疫力が低下している人に対しての使用可否および効果。
・18歳以下への効果。(子供を対象とする臨床試験はまだ行われていない)
・HIV/AIDS患者やコロナウイルスから一度回復した人への効果。
・アレルギー反応を引き起こす可能性あり。
・接種者はコロナウイルスから保護されるが、「ウイルスの拡散を防ぐ効果があるかどうか」はまだ分かっていない。
・接種者はコロナウイルスから完全に保護される?症状から保護される?
・コロナウイルス変異種に対する効果。
・免疫を保持できる期間は?