◎地元メディアはヤンゴンのラインタヤ郡区にある中国の工場が攻撃を受け、中国大使館の当局者が軍に保護を要請したと報じた。その後、軍はラインタヤ郡区と隣接するシェピタ郡区で戒厳令を宣言した。
◎治安部隊は3月14日の取り締まりで少なくとも38人を殺害した。
2021年3月14日/ミャンマー、ヤンゴン、負傷者の元に集まる抗議者たち(AP通信)

地元メディアによると、ミャンマーの治安部隊は3月14日の取り締まりで少なくとも38人を殺害したという。また軍事政権は、最大都市ヤンゴンの一部地域で戒厳令を宣言し、取り締まりを強化した。

国内の逮捕者と犠牲者を追跡している政治囚人支援協会(AAPP)は、3月14日の取り締まりの犠牲者数は過去最高を更新したと述べた。また、大半の病院が治安部隊の占領下に置かれている影響で、数十人の重症者が適切な治療にアクセスできず、苦しんでいるという。

殺害された38人のうち34人はヤンゴンの抗議に参加していた。地元メディアは、ヤンゴンのラインタヤ郡区とシェピタ郡区が戒厳令下に置かれたと報じている。また、第二の都市マンダレー、バゴー、カチン州北部の都市で合わせて4人の死亡が確認された。

ラインタヤ郡区の状況を伝えた動画には銃撃から逃れようとする抗議者の姿が映っていた。

現地で医療を提供している団体によると、治安部隊はラインタヤ郡区で少なくとも22人を射殺し、12人以上に重軽傷を負わせたという。

一方、地元メディアはラインタヤ郡区にある中国の工場が攻撃を受け、中国大使館の当局者が軍に保護を要請したと報じた。その後、軍はラインタヤ郡区と隣接するシェピタ郡区で戒厳令を宣言した。

中国大使館は声明で、「鉄の棒、斧、ガソリンを携帯した暴徒が10の中国の施設を破壊し、火をつけ、損害を与えた」と述べた。中国のホテルも攻撃を受けたと伝えられている。

中国大使館は声明で次のように述べた。

工場が略奪され、破壊され、多くの中国人スタッフが負傷し閉じ込められた。軍はすべての暴力行為を阻止し、法律に従って加害者を罰し、中国企業の職員の生命、財産、安全を確保するための措置を講じなければならない」

国営放送ミャンマーラジオTV局(MRTV)は、抗議者が現地へのルートを封鎖し、消火活動を妨げた報じている。

2021年3月14日/ミャンマー、ヤンゴン、治安部隊の攻撃に備える抗議者たち(AP通信)

軍は2月1日のクーデターでアウンサンスーチー氏と国民民主連盟(NLD)の議員らを拘束し、非常事態を宣言した。

MRTVは14日の放送で、「政府はクーデター以来初となる戒厳令を一部地域で宣言し、より厳しい取り締まりを開始すると宣言した」と述べた。

地元メディアによると、戒厳令下に置かれた地域では治安維持活動が強化され、軍と警察は法と秩序を回復するという名目であらゆる行動を許可されるという。ヤンゴン地域司令官は行政、司法、治安部隊の権限をミン・アウン・フライン司令官から委任されたと伝えられている。

ヤンゴンの抗議者たちはヘルメットと防毒マスクを着用し、治安部隊の動きに注意しつつ抗議活動を行った。団体の先頭にいる若者たちは治安部隊が動き始めると消火器を一斉に噴射し、他の抗議者の後退をサポートした。

インセイン地区の抗議者たちは道路に設置したタイヤに火を放ち、炎と煙で治安部隊の進路を妨害した。ソーシャルメディアによると、治安部隊はゴム弾とスタングレネードで応戦したという。

ヤンゴンの商業地区では数百人が犠牲者を悼む追悼集会を開催した。軍は夜間外出禁止令を発効しているが、これらの座り込みによる抗議もしくは集会を取り締まったという情報は確認されていない。

一連の抗議運動は当初から非暴力を徹底し、経済活動に大きな影響を与えるゼネラル・ストライキに発展した。また、一部の抗議者は迅速に行動できる小規模な集会を各地で開催し、治安部隊の乱暴な取り締まりを動画や写真におさめ、ツイッターやインスタなどで発信している。

一方、追放されたNLDの議員から副大統領代理に指名されたマーン・ウィン・カイン・タン氏はクーデター以来初となる国民向けの演説を13日に行い、「軍事政権を追放するための革命を支援し続ける」と誓約した。

「ミャンマーは困難な状況にありますが、夜明けは近いと確信しています。私たちは何十年にもわたって独裁政権からさまざまな種類の抑圧を受け、すべての民族の兄弟たちが虐げられてきました。この革命は私たちが望んでいる完全な民主主義を達成するチャンスです

「私たちは軍隊の不当な取り締まりには決して屈しません。私たちは団結し、未来を切り開きます。私たちは民主主義を達成します」

MRTVによると、警察官1人が死亡し、バゴーで投石攻撃を受けた警察官3人が負傷したという。

AAPPは一連の取り締まりで120人以上の市民が殺害され、数百人が負傷し、2,000人以上が不当に拘束されたと報告している。

2021年3月14日/ミャンマー、ヤンゴン、犠牲者を悼む追悼集会(AP通信)

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