◎北朝鮮の研究を専門とする38ノースは、寧辺(ニョンビョン)原子力研究センターの石炭火力発電所が約2年ぶりに稼働していることを示した写真をウェブサイトに掲載した。報告によると、先月下旬頃から発電所の稼働を示す兆候が見られるようになったという。
2021年3月3日 AP通信/北朝鮮、首都平壌で開催された朝鮮労働党の会議、金正恩

情報分析サイト38ノースによると、北朝鮮は原子力研究センターでプルトニウムを抽出し、核兵器の数を増やそうとしている可能性があるという。

金正恩は今年1月に開催した朝鮮労働党大会の中で核兵器開発を加速させると誓約し、アメリカのジョー・バイデン大統領に圧力をかけている。

北朝鮮の研究を専門とする38ノースは、寧辺(ニョンビョン)原子力研究センターの石炭火力発電所が約2年ぶりに稼働していることを示した写真をウェブサイトに掲載した。報告によると、先月下旬頃から発電所の稼働を示す兆候が見られるようになったという。

38ノースは報告の中で、「北朝鮮は核兵器の製造に必要なプルトニウムを抽出するために石炭火力発電所を再稼働させ、使用済み燃料の再処理の準備を進めている可能性があります」と述べた。

国際原子力機関(IAEA)のラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長は今週、寧辺の放射性化学実験室の稼働に必要なエネルギーを供給する発電所の再稼働を報告したうえで、「いくつかの原子力施設が稼働し続けている」と述べた。

この実験室では原子炉から取り出された使用済み燃料棒を再処理してプルトニウムを抽出する。

グロッシー事務局長はIAEAのウェブサイトに掲載された声明の中で、「北朝鮮の核活動は依然として深刻な懸念の原因になっています。核計画の継続は安保理の決議に違反するものであり、いかなる理由があろうと容認できません」と述べた。

プルトニウムは核兵器の製造に欠かせない重要な元素のひとつである。首都平壌の北に位置する寧辺原子力研究センターでは、プルトニウムと高濃縮ウランを生産する施設があると考えられている。ただし、生産した兵器級のプルトニウムおよび高濃縮ウランの保管場所は明らかになっていない。

北朝鮮の核兵器保有数は不明。韓国の諜報機関は2018年の報告で、20発から60発と見積もっている

金正恩はドナルド・トランプ前大統領との歴史的な首脳会談でアメリカ主導の経済制裁の解除を目論んでいた。しかし、二人の関係はあっさり破綻し、昨年のコロナ危機、台風による自然災害、そして厳しい経済制裁の影響で北朝鮮の経済は深刻な影響を受けた。

金正恩は1月に開催した党大会の中で、核兵器開発を加速させると誓約し、アメリカを標的とするハイテク兵器システムを概説したうえで、「二国間の運命はワシントンD.C.が敵対政策を撤回するかどうかにかかっている」と脅迫した。

韓国の専門家はこの動きについて、「金正恩はバイデン大統領に交渉のテーブルに戻り、経済制裁を解除もしくは緩和するよう圧力をかけたいと考えています」と述べた。

バイデン大統領は以前、金正恩を「凶悪犯」と呼んだ。一方、金正恩はオバマ政権下で北朝鮮を厳しく非難した当時のバイデン副大統領を「狂犬病の犬」と呼んでいる。

2021年2月16日 ロイター通信/北朝鮮、笑顔の金正恩と妻の李雪主
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