◎エチオピア国防軍、ティグレ人民解放戦線(TPLF)の指導者の所在に関する情報に約25万ドル(2,600万円)の懸賞金をかける。
エチオピアの放送局EBCによると、エチオピア国防軍は連邦政府に攻撃を仕掛けたティグレ人民解放戦線(TPLF)の指導者の所在に関する情報に約25万ドル(2,600万円)の懸賞金をかけると発表したという。
国防軍のアスラット・デネロ中将は声明の中で、「この提案はTPLFの指導者を短期間で逮捕するためのもの」と語った。
地元メディアによると、国防軍は様々な方法を駆使して指導者の行方を追っているが、めぼしい情報は得られていないという。
11月初旬、政府軍は北部ティグライ地域を支配するTPLFへの軍事攻撃を開始した。
1か月後、エチオピアのアビィ・アハメド首相は勝利および紛争の終結を宣言したが、地元メディアによると、小規模な衝突は現在も続いているという。
政府軍とTPLFの戦闘の実態はほとんど明らかになっておらず、何千人もの民間人が犠牲になった可能性もあると指摘されている。
国連難民高等弁務官事務所は、エチオピアの市民5万人以上が隣国スーダンの難民キャンプに逃げ込んだと報告した。
今週、EUはティグライ地域への安全なアクセスが欠如していると指摘したうえで、9,000万ユーロ(11億円)の支援提供を延期すると発表した。
エチオピアはティグライ紛争後の人道的危機に直面している
エチオピア北部ティグライ地域
ティグライについて知っておくべきこと
・12月11日、エチオピア政府、北部ティグライ地域の難民キャンプから逃れた「エリトリア難民数千人」を元の難民キャンプに戻すと発表。
・12月8日、エチオピア政府、ティグライ地域の検問所を突破しようとした国連職員に発砲。
・2020年12月、国連とエチオピア、ティグライ地域への援助を許可する協定に署名。
・2020年12月1日、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、難民の栄養失調と飢餓を警告。
・2020年11月29日、赤十字病院、医療用物資が「危険なほど不足」していると警告。
・2020年11月28日、アビィ・アハメド首相、州都メケレを「完全に支配した」と宣言。
・2020年11月25日、政府軍、州都メケレへの攻撃を開始。
・2020年11月22日、国連、エチオピア政府軍によるティグライ地域への「最後通告」について、市民を巻き込む致命的な戦争犯罪につながると懸念を表明。
・2020年11月22日、アビィ・アハメド首相がティグレ人民解放戦線(TPLF)に降伏する機会を与える。
・2020年11月、国連のアントニオ・グテーレス事務総長、「即時の一時停戦」を求める。
・2020年11月、国連、「本格的な人道的危機」が発生していると警告。
・2020年11月14日、TPLFが、近隣地域の空港などをロケット弾で攻撃。
・2020年11月13日、国連はマイカドラの町で発生したと伝えられている大量殺戮について、事実であれば「戦争犯罪」の可能性もあると述べた。
・2020年11月、ティグライ地域、南西エリアに位置するマイカドラの町で、数百人が刺されるなどして死亡した。
・2020年11月4日、TPLFが政府軍の軍事キャンプを攻撃。TPLFは関与を否定している。
・2020年9月、アハメド政権はコロナウイルスへの対応として国内での選挙活動を禁じ、TPLFはこれに猛反発した。TPLFはこの制限を、「中央政権の独裁体制を強化する違法行為」と見なしている。
・国内最大の民族グループはオロモ民族。TPLFはこれに属する。
・オロモ民族グループとソマリア民族グループの衝突が長年続いてる。
・1970年代~1980年代、政府の崩壊、干ばつ、飢饉で100万人以上が死亡、約800万人が影響を受けたと伝えられている。指導者はマルクス主義の独裁者、メンギスツ・ハイレ・マリアム。
・1989年、TPLFは他の反政府組織と合併、エチオピア人民革命民主戦線(EPRDF)を結成。
・1991年、EPRDFの軍事攻勢により、メンギスツ・ハイレ・マリアム政権崩壊。
・1991年7月、EPRDF、オロモ解放戦線(OLF)などが87名の国民議会を形成。エチオピア暫定政府(TGE)を設立。
・2018年4月2日、アビィ・アハメドが首相に就任。
・2018年7月、エチオピアとエリトリア国の首脳が20年ぶりに会談、和平協定に署名。
・2018年10月25日、サーレ・ワーク・ゼウデが大統領に就任。エチオピア初の女性大統領。
・2018年の避難民数は推定140万人。
・2019年、アハメド首相がノーベル平和賞を受賞。
・政府とTPLFの緊張関係は年々悪化している。
・TPLFはエリトリア国との和平を認めていない。
・オロモ民族グループによる虐殺(数十人規模)が横行。オロモに属するアハメド首相はこれを非難している。