コロナウイルスの第二波に対処するためのロックダウンがヨーロッパ全体で実施されている。なお、その多くは春の封鎖を緩和したものである。
イギリス:2回目のロックダウン
イングランド全域は11月5日からロックダウンされた。ボリス・ジョンソン首相は声明の中で、「今年のクリスマスは例年とは非常に異なる」「今、行動を起こすことは、再び家族や知人と集まることを意味する」と述べた。
・自宅待機:特別な理由がない限り、原則外出禁止。
・外出時:ガイダンスに従い、社会的距離(2m)を確保。社会的距離を確保することが難しい屋内施設ではマスクを着用。
・他者(友人など)との接触:屋内での接触は禁止。屋外では1日1世帯まで。
・ビジネス:重要でない企業、個人店は閉鎖。バー、レストランなどはテイクアウトのみ可能。ただし、アルコールの販売は禁止。テレワークを強く推奨。
・イベント:葬儀は最大30人まで。結婚式場、霊拝所は閉鎖。
・学校:授業を継続。
・旅行:禁止。仕事に関連する重要なものは可能。
・財政支援:従業員の賃金の80%を補償する雇用維持制度は11月まで延長。
フランス:2回目のロックダウン
フランスは10月30日から新たな国家封鎖に入った。期間は12月1日までの予定。
・バー、レストランは閉鎖。
・食料品店やガソリンスタンドなどの生活に欠かせない店舗以外は全て閉鎖。
・外出には許可証が必要。
・学校、公的機関、工場は営業を継続。
・集会、スポーツ、その他イベントは全て禁止。
・22:00~06:00の間は外出禁止。
ドイツ:部分封鎖
10月末、感染拡大の続くドイツも封鎖を決断した。期間は11月30日まで。
アンゲラ・メルケル首相は声明の中で、「コロナウイルスと戦うためには国家規模の努力が必要。国家非常事態を回避するために、私たちは今行動しなければならない」と述べ、一部施設のロックダウンを発表した。
・学校や幼稚園は対面授業を継続。
・第三者との接触は10人以下、2世帯に制限。
・バーは閉鎖、レストランはテイクアウトのみ可。
・タトゥー店、マッサージパーラー、その他レジャー施設は全て閉鎖。
・美容院と理髪店は厳格な衛生規則と顧客数を制限することで営業可能。
・教会での礼拝、コロナウイルス関連の抗議運動も許可されている。
・閉鎖で打撃を受けた中小企業への補償措置。
イタリア:2回目のロックダウン
2回目のロックダウンは11月4日から始まった。
イタリアの現在の震源地は、春の危機で深刻な被害を受けた北部ロンバルディア州。カンパニア州ナポリとその周辺地域でも新規陽性者が急増している。
・美術館、展示会、ショッピングセンターは閉鎖。
・レストランの営業時間は18:00まで。
・学校は授業を継続。ただし、年長の生徒はオンライン授業に移行。
・公共交通機関の容量制限を80%から50%に引き下げ。
・食料品店、薬局などは営業を継続。
・企業も活動を継続。ただし、テレワークを強く推奨。
・夜間外出禁止令発令中。
映画館、プール、劇場、ジム、娯楽施設は10月下旬に閉鎖されており、自宅以外の屋内外では必ずマスクを着用しなければならない。
スペイン:非常事態宣言、夜間外出禁止令
スペインは10月25日に非常事態を宣言、夜間外出禁止令を開始した。期間は2021年5月初旬まで。
・対象はカナリア諸島を除く全地域。
・外出禁止時間は23:00~06:00。
・外出を許可されている行為(日中)は、仕事、食料品や薬の購入、高齢者や子供の世話。
・公的および私的な集会は6人以下。
ベルギー:2回目のロックダウン、夜間外出禁止令
ベルギーの感染率はヨーロッパで最も高く、国内の集中治療室(ICU:約2,000床)の半分以上がコロナ患者に占有されている。期間は11月2日~12月中旬まで。
・スポーツイベント:すべてのプロのスポーツ大会は観客なしで開催。アマチュア大会は中止。
・大学:敷地内の占有率は最大20%。
・屋内文化イベント:制限の遵守を保証できる場合は最大40人、社会的距離のルール(1.5m)要件を満たせば最大200人まで。飲食物の販売は禁止。
・アミューズメントパーク:閉鎖。
・アニマルパーク:屋内エリアは閉鎖、飲食物の販売は禁止。
・オフィス:テレワーク推奨。
・他者との接触:1日1人に制限。
・個人的な集会:4人に制限。
・公共スペースでの会議:4人に制限。
・市場や小規模なフェアイベント:許可。ただし、飲食物の販売は禁止。フリーマーケット、小規模なクリスマスマーケットおよび同様のイベントは禁止。
・カフェやレストラン:閉鎖。テイクアウトは22:00まで可能。ケータリングサービスは禁止。
・バーやクラブ:営業可能時間は22;00まで。20:00以降のアルコール販売は禁止。
・夜間外出禁止令:重要な正当な理由がない限り、00:00~05:00は外出禁止。
ポルトガル:一部地域の封鎖、新たな制限
制限は11月4日に発効。期間は11月末まで。対象エリアは308都市のうち121。首都リスボンやポルトも含まれる。なお、2週間後に制限内容の見直しを行う。
・テレワークを強く推奨。
・店舗の営業時間は22:00まで。
・昼夜を問わず、不要不急の外出禁止。
・自宅を除く屋内スペースではマスク着用必須。
・公的および私的な集会は5人以下。
・大学のパーティは禁止。結婚式や洗礼式はマスクを着用のうえ、最大50人まで許可。
・9日から夜間外出禁止。(対象:全国)
20:00以降のアルコール販売、公共の場での飲酒は以前の制限で既に禁止されていた。
オランダ:4週間の部分的な封鎖
ウィレム・アレクサンダー国王とマクシマ女王のコロナ旅行で大騒ぎしたオランダも、感染拡大に悩まされている。
部分的な封鎖の期間は10月14日から4週間の予定。
・全土のバー、レストラン、カフェ、大麻ショップはテイクアウト営業のみ可能。
・20:00以降のアルコール販売を禁止。
・食料品店を除く全ての店舗の営業時間は20:00まで。
・イベント、コンサートは全て禁止。
屋内施設や公共交通機関でのマスク着用ルールは継続。なお、学校、プール、サウナは開放されている。
チェコ共和国:2回目のロックダウン
チェコはヨーロッパで最初に2回目のロックダウンを発表した。期間は11月3日までだったが、11月20日延長された。
・重要でない企業は全て閉鎖。
・学校も閉鎖。
・生活必需品を提供する食料品店、薬局などは営業可能。それ以外の店舗は全て閉鎖。
・昼夜を問わず、原則外出禁止。(緊急時、犬の散歩、生活必需品の購入時などは可)
オーストリア:新たな制限
期間は11月3日から11月末まで。ただし、感染状況によっては延長もあり得るという。
・ビジネス:ジムと美術館は閉鎖。その他の店舗は営業を継続。カフェやレストランは閉鎖され、テイクアウトのみ可能。
・学校:幼稚園と小学校は閉鎖。高校と大学はオンライン授業、対面授業は禁止。
※11月17日から2回目のロックダウンに移行。期間は12月6日まで。
・学校は全て閉鎖。オンライン授業に移行。
・観光客向けのホテルは閉鎖。滞在できるのはビジネスマンのみ。
・レストランやバーは、テイクアウトもしくはデリバリーサービスのみ提供可能。店内での飲食は禁止。
・コンサート、演劇、展示会などのイベントは全て禁止。
・美術館、劇場、映画館、ジム、プール、動物園、遊園地、その他の文化およびレジャー施設は全て閉鎖。ただし、図書館は対象外。
・スキーリゾートも全て閉鎖。オープンは12月に延期。ただし、プロのスキーチームはトレーニングを継続できる。
・クリスマスマーケットは12月6日まで開催できない。
・重要な店舗(食料品店、ガソリンスタンドなど)のみ営業可能とし、その他は全て閉鎖。
・11月17日まで夜間外出禁止令(20:00~06:00)を継続。11月17日以降は、食料品の購入などの理由を除き、外出禁止。
デンマーク:部分封鎖
世界の最大の毛皮生産国のひとつであるデンマークは、コロナウイルスに感染したミンクから人間に広がる可能性のある突然変異種が確認されたため、一部地域を封鎖し、国内で飼育しているミンク約1,700万匹を殺処分すると発表した。
対象地域は北ユランの7つの自治体。期間は11月6日から12月3日まで。
・期間中、バー、レストラン、公共交通機関、全ての公共屋内スポーツ施設が閉鎖。
・10人以上の集会は禁止。地域住民は自治体内にとどまり、検査を受けるよう促された。
アイルランド共和国:部分封鎖
アイルランドは10月22日から最高レベルのコロナ制限に移行した。
期間は6週間の予定。4週間後に感染状況をチェックし、見直しを行う。
・原則自宅待機。テレワークを強く推奨。
・自宅での懇親会は禁止。
・屋外での接触可能人数は1日1世帯まで。
・バーやレストランはテイクアウトのみ可。
・生活に欠かせない店舗以外は全て閉鎖。
・結婚式の人数は25人以下、葬式は10人以下。マスク着用必須。
・学校と幼稚園は継続。
ギリシャ:一部地域で夜間外出禁止令
首都アテネとその周辺地域で夜間外出禁止令が発効されている。
・外出禁止時間は00:30~05:00.
・レストラン、カフェ、クラブ、映画館、美術館、ジムは全て閉鎖。
・屋内外の公共スペースではマスク着用必須。
ギリシャで2番目に大きな都市、テッサロニキと北部のセレス州も、11月3日から2週間の制限を開始。
・夜間外出禁止令、時間は21:00~05:00。
スウェーデン:ロックダウンなし、制限が課されている
スウェーデンは感染予防対策を国民一人ひとりの自主性に任せてきた。
しかし、首都ストックホルムなどの都市圏で新規陽性者が急増したことを受け、より厳格なガイドラインが導入された。
・カフェやレストランで同席できる人数を1テーブルあたり8人以下。超える場合は、少なくとも1メートル離れた複数のテーブルに分割。
・集会やイベント:50人以下に制限。
・屋内施設、店舗:可能な限り利用を控える。ただし、店舗は閉鎖されない。
・旅行:可能な限り控える。
・公共交通機関:可能な限り利用を控える。第三者との社会的距離を保つ。
・運動:15歳以上のスポーツ活動は避ける。ただし、プロスポーツ、大学スポーツは許可。
・仕事:テレワークを推奨。
・第三者との接触:家族以外との接触は可能な限り避ける。
これらの制限は都度見直される可能性がある。