キルギスタンについて知っておくべきこと
・カザフスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、中国と国境を接する。
・ソビエト連邦の一部だった時は、キルギスソビエト社会主義共和国と呼ばれていた。
・1991年に独立を宣言、現在の名前(キルギス共和国/キルギスタン)を取得した。
・2005年、アスカル・アカエフ大統領を蜂起によって一掃。2010年にはクルマンベク・バキエフ大統領を追放した。
・脅迫、暴力、買収に満ちた選挙を繰り返し、事あるごとに大統領が追放される。
ボロノフ首相が辞任を表明
10月6日、キルギスタンのボロノフ首相は、国を政治的混乱に陥れた議会選挙の結果が無効になった責任をとり、辞任を表明した。
後任は、前日の抗議活動中に刑務所から強制脱獄させられたサディール・ジャパロフ氏が務めるという。
野党グループは議会の権力を掌握し、不正・汚職・脅迫・暴力に染まった議会選挙の結果を無効と主張、抗議者たちもそれに連動し、激しい破壊活動が繰り広げられた。
中央選挙管理委員会は高まる圧力に直面し、議会選挙の結果を無効にすると発表した。
議会選挙は票の大量購入、買収、有権者への脅迫と暴力によって操作され、ソーロンバイ・ジェーンベコフ大統領と密な関係を構築する2党が有効票の50%以上を獲得、圧勝した。
ジェーンベコフ大統領はまだ権力を握っており、議会選挙後もそれを維持すると明言。敵対勢力を破壊する準備はできている、とほのめかしている。
最新の発表によると、抗議者たちは政府庁舎を奪取。7年前の抗議活動で地方知事を誘拐し11年の刑に服していたサディール・ジャパロフ氏を解放した。
また、汚職の罪で11年の刑に服していた元大統領のアルマズベク・アタンバイエフ氏も釈放されたという。
5日の議会選挙で議席獲得ライン(7%)を超えた政党は16中4つにとどまり、うち3党はジェーンベコフ大統領と密な関係を構築している。
ジェーンベコフ大統領は中央選挙管理委員会から選挙無効の発表がある前に、「国の政治情勢を考慮し、無効にする準備はできている」と述べていた。
6日、首都ビシュケクのアラトゥーススクエアには約5,000人の抗議者が集まり、選挙結果に破壊する抗議活動を行った。
夕方になると平和的な抗議活動から離脱した一部のグループが国会議事堂の門を突破しようと試み、警察と衝突。警察は放水砲、スタングレネード、催涙ガス弾などで抗議者たちを一掃しようとした。
しかし、数千人の抗議者たちが乱闘中の国家議事堂前に殺到。警察の攻撃は激化し、それに抵抗する抗議者たちもより過激な行動をとるようになった。
保健省によると、一連の抗議活動で700人以上が負傷、9人が重体、19歳の男性1人が死亡したという。
またAP通信によると、7日時点で大統領府は抗議者の管理下にあり、過激化した暴徒が企業や商店などを襲っているという。
今回、120の議席を争った16党のうち、議席獲得の最低ライン(7%)を超えた政党は4党だけだった。
それぞれ約25%の票を獲得した2党(ビリムディック党、メケニムキルギスタン党)はジェーンベコフ大統領と密接な関係にあり、野党勢力と抗議者たちの怒りに燃料を注いだ。
主要野党勢力はいずれも議席を獲得できず、選挙後、12党による野党連合を結成。投票結果を認めないと宣言した。
欧州安全保障協力機構(OSCE)の選挙監視機関は、議会選挙の結果について「深刻な懸念」を表明している。
なお、一部のオブザーバーによると、投票所で特定の政党名を記した投票用紙が売買され、さらに、賄賂を受け取った有権者が特定の投票所にバスで運ばれ投票していたという申し出も複数寄せられているという。