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▽セルビアでは北部ノビサドの駅で昨年11月に事故が発生して以来、政府に抗議するデモが全国各地で行われている。
2025年3月1日/セルビア、ニシュ中心部の広場、政府与党に抗議するデモ(AP通信)

クロアチア政府は10日、セルビア政府が15人のクロアチア人を国外追放したことに抗議した。

AP通信によると、15人のクロアチア人を含む数十人が過去数か月間でセルビアから追放されたり、入国禁止令を受けたりしたという。

セルビアでは北部ノビサドの駅で昨年11月に事故が発生して以来、政府に抗議するデモが全国各地で行われている。

この事故はノビサド中心部の鉄道駅の入り口で24年11月1日に発生。コンクリート製の天井が突然崩落し、6歳の少女を含む16人が死亡した。

ノビサド駅は1964年に建設され、近年2度改修工事が行われたものの、崩落した天井は工事に含まれていなかった。直近の工事は中国の国営企業が請け負っていた。

このデモは各地の学生ユニオンが主催。多くの学生が講義をボイコットし、政府に説明を求めるため、デモに参加している。

この結果、国内のほぼ全ての大学が閉鎖される事態となった。

ブチッチ政権と国営メディアは学生ユニオンを「過激派」「外国勢力」などと呼び、市民に支持しないよう働きかけてきた。

クロアチアのプレンコビッチ(Andrej Plenkovic)首相は記者会見で、「セルビア政府に抗議文を送り、EUにも一連の国外追放について報告した」と述べ、「セルビア政府の決定は容認できない」と批判した。

またプレンコビッチ氏は「セルビア当局に説明を求めている」とし、「我々は決してこのような行動を許さないし、容認しない」と述べた。

セルビアはEU加盟を目指しているが、ブチッチ(Aleksandar Vucic)大統領はロシアや中国との緊密な関係を維持。欧州の対ロシア制裁にも参加していない。

セルビアの首都ベオグラードでは10日、ブチッチ政権に批判的な外国人が国外追放されていることに抗議する集会が開催された。

学生ユニオンの代表は演説で、「セルビアが恐怖の国になることを許さない」と語った。

セルビアから国外追放された外国人にはロシア政府を批判したロシア人活動家も含まれている。今年1月の反政府デモに参加したルーマニア人やオーストリア人も追放された。

クロアチアとスロベニアのTV局は先月、このデモを取材する予定であったが、入国を拒否された。

デモ隊は汚職、怠慢、安全規制の無視が横行した結果、ノビサド駅の改修工事がうまくいかなかったと主張し、ブチッチ氏に責任を取るよう求めている。

ブチェビッチ(Milos Vucevic)首相は1月末、政府との対話に応じるようデモ隊に求め、辞意を表明。ノビサドの市長も同日辞任した。

政府与党は過去の抗議デモを鎮めることに成功してきたが、現在の学生運動は農業組合、教職員、看護士、弁護士、医師、裁判官、俳優など、あらゆる階層から広く支持を集めており、収まるどころか勢いを増しているように見える。

検察は昨年末、駅崩落に関連してベシッチ(Goran Vesic)前建設相を含む13人を起訴した。13人は公共の安全に対する重大な犯罪行為と公共工事で不誠実な対応をした罪に問われている。有罪が確定すれば、12年以下の懲役刑に処される可能性がある。

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