▽USAIDのロックダウンは対外援助の凍結をめぐる世界の混乱に拍車をかける恐れがある。
トランプ米政権が3日、国際開発庁(USAID)の閉鎖に向け、本部から職員を締め出すと誓った。
国務省は1月20日、緊急食料支援プログラムとイスラエルおよびエジプトへの軍事援助を例外として、全ての対外援助事業・資金を凍結するよう命じた。
米国はどの国よりも多くの対外援助を行っており、2023年には600億ドル(約9兆3600億円)もの予算を計上した。
USAIDのロックダウンは対外援助の凍結をめぐる世界の混乱に拍車をかける恐れがある。
政府効率化省(DOGE)を率いるマスク(Elon Musk)氏がUSAID閉鎖の急先鋒であり、同組織を「左翼の巣窟」「詐欺グループ」などと呼んでいる。
マスク氏はトランプ氏の命を受け、無駄とされる様々な取り組みを廃止する予定だ。
AP通信はホワイトハウス高官の話しとして、「トランプ氏はUSAIDを国務省に統合することを検討しており、イーロン・マスクに同機関の効率化を監督するよう命じた」と伝えている。
それによると、USAIDの職員や請負業者にメールが届き、出勤しても本部に入ることはできないと通知されたという。
ワシントンDCのUSAID事務所前では3日、数十人の職員と民主党議員が抗議デモを行った。
ロイター通信によると、当局は3日遅くにUSAID職員にメールを再送し、4日もリモートで働くよう通知したという。「本部には入れません...」
本部前で演説した民主党議員のひとりは「イーロン・マスクという第4の政府機関は存在しない」と非難した。
トランプ氏は今週、マスク氏を特別職の国家公務員に任命した。
マスク氏は無報酬で、3段階で最上位のトップシークレットの機密情報にアクセスする権限も得た。DOGEは人事や歳出システムへのアクセス権限も得ており、政府内での影響力が強まると懸念されている。
トランプ氏が「アメリカ第一政策」に基づき、対外援助の大半を凍結した結果、世界中で数十億ドル相当の人道援助を提供している何百ものUSAIDプログラムが停止した。
もしUSAIDが国務省の管轄下に置かれれば、援助分配に劇的な結果をもたらす可能性が高い。
マスク氏はUSAIDを「ホワイトハウスに説明責任を果たせない左翼機関」と呼び、批判を強めている。
一連の出来事はトランプ氏の政策におけるマスク氏の強力な役割を浮き彫りにしている。
DOGEは先週、財務省の最も機密性の高い決済システムにアクセスし、反トランプ派とされる一部職員を締め出した。