▽被害の全容は明らかになっておらず、現地メディアによると、行方不明者の捜索も思うように進んでいないようだ。
大型のサイクロン・チド(Chido)が上陸し、壊滅的な被害を受けたフランスの海外県マヨット島で移民へのヘイトクライムが増加している。
チドは14日にマヨット島を横断。数万棟の家屋が全壊・損壊したとみられる。フランス内務省は島民の7割が被害を受けたと推定。自治体と連携してライフラインの復旧を急いでいる。
被害の全容は明らかになっておらず、現地メディアによると、行方不明者の捜索も思うように進んでいないようだ。
地元当局は死者数を数百人、場合によって数千人に達する可能性があると警告している。
公式の死者数は数日間更新されておらず35人のまま。重傷者は78人に上っている。
マヨット島の人口は約32万人。フランスで最も貧しい県のひとつであり、島民の75%が貧困ライン以下での生活を余儀なくされ、失業率は30~35%で推移している。
地元当局によると、人口32万人のうち、約10万人が移民で、その大半がマヨット島から70キロほど離れたコモロの市民である。
AFP通信によると、移民の多くが強制送還を恐れて避難所を避け、サイクロンの被害を自治体に報告できずにいるという。
移民の多くが手作りの掘っ立て小屋で生活し、今回のチドで住まいを失ったとみられる。
一部の住民は「移民のせいで政府の支援が届きにくくなっている」と主張している。
マヨット島で生まれ育ったという46歳の女性はAP通信の取材に対し、「移民の存在に我慢できない」と語った。「彼らは勝手に島にやってきて、列に割り込み、食料や水を奪い、好き放題しています...」
SNSにも移民を非難する投稿が多数寄せられている。「マヨット島は移民のせいでめちゃくちゃになってしまった」「移民に食料や水をあげないで」
マヨット島はアフリカ南東部・マダガスカルとアフリカ本土の間に位置する。
マクロン政権はマヨット島に多くの資源を投入すると約束しているが、被害を受けたエリアがあまりに広く、ライフラインの復旧はおらか、行方不明者の捜索もほとんど進んでいない。