◎イラン政府高官や国営メディアはアサド氏がロシアに亡命して以来、反体制派の表現を微妙に変えている。
イランの最高指導者ハメネイ(Ali Khamenei)師は12日、シリアのアサド政権崩壊に初めて言及し、「その背後には米国とイスラエルがいる」と非難した。
ハメネイ師は演説で「抵抗戦線(抵抗の枢軸)はアサド(Bashar Assad)大統領が倒れても地域全体を、イスラエルを包囲している」と強調した。
またハメネイ師は同盟国のひとつであるシリアを失ったことを軽視し、「その背後に米国とイスラエルがいることは明らかであり、抵抗戦線はこの両勢力を打ち負かすことができる」と主張した。
ハメネイ師は米国に対する断固とした姿勢を堅持し、抵抗の枢軸を賛美する一方、旧アサド政権を追放したタハリール・アルシャーム機構(HTS)やその他反体制派については曖昧な発言を繰り返した。
HTSとその同盟組織は先月末、アサド(Bashar Assad)大統領の支配下にある北部アレッポ県に攻め込み、全土を制圧。HTSはその後、中部の要衝ハマに侵攻。第3の都市ホムスも奪取した。
HTSは7日、ダマスカスを制圧し、アサド政権の終焉を宣言。さらにHTS司令部は8日、アサド氏が国を去ったと発表した。
旧アサド政権は9日、アル・バシル(Mohammed al-Bashir)氏率いる野党主導の暫定政府に権力を移譲することに同意した。
HTSは内戦下のシリアで活動する反政府組織のひとつ。「国際テロ組織アルカイダ」のシリア支部とみなされ、北西部イドリブ県に本部がある。
HTSの指導者であるジャウラニ(Abu Mohammad Al-Julani)氏が暫定政府に関与するかは分かっていない。米国はジャウラニ氏に1000万ドルの懸賞金をかけている。
ハメネイ師は反体制派について、「その戦闘員にはそれぞれ目的がある。その目的は異なる」と述べ、イランのスタンスには言及しなかった。しかし、シリアの領土を奪おうとする者がいれば、「熱狂的なシリアの若者たちが国を解放するだろう」と強調した。
イラン政府高官や国営メディアはアサド氏がロシアに亡命して以来、反体制派の表現を微妙に変えている。
アサド政権が崩壊する以前は反体制派を「テロリスト」や「反乱軍」と呼んでいたが、今ではHTSを「武装グループ」や単に「グループ」と呼ぶようになった。