◎憲法裁は6日、ジョルジェスク氏を名指しすることなく、「第1回投票の候補13人のうち1人がソーシャルメディア上で優遇措置を不当に受け、投票結果を歪めた」と指摘し、やり直しを命じた。
ルーマニアの首都ブカレストで8日、大統領選挙のやり直しに抗議するデモが行われ、極右のジョルジェスク(Calin Georgescu)氏の支持者が憲法裁判所の決定を非難した。
憲法裁は6日、ジョルジェスク氏を名指しすることなく、「第1回投票の候補13人のうち1人がソーシャルメディア上で優遇措置を不当に受け、投票結果を歪めた」と指摘し、やり直しを命じた。
ジョルジェスク氏は決選投票のために開設された投票所の前で記者団の取材に応じ、「今日は憲法記念日だが、ルーマニアに憲法的なものは何もない」と語った。
またジョルジェスク氏が司法が民主主義を破壊したと主張した。「憲法裁判所は民主的な選挙を取り消した。国民の権利、自由を取り消したのです...」
憲法裁は人工知能(AI)を含むデジタル技術の違法な使用や、未申告の選挙資金が使用されたと指摘。また、ある候補がソーシャルメディア・プラットフォームで「優遇措置」を受け、その結果、有権者の意思表示が歪められたとしている。
ヨハニス(Klaus Iohannis)大統領は憲法記念日を祝う声明で、「ルーマニアが司法の独立を含む、憲法を遵守する完全な民主主義国家であることを嬉しく思う」と述べた。
またヨハニス氏は憲法について、「国家と政治生活の枠組みを定義し、民主主義への脅威に対する盾の役割を果たしている」と強調。「激動の時代において、国家機関は冷静さと知恵を持ち、法と憲法と民主主義を尊重して行動することが求められている」と述べた。
情報機関はジョルジェスク氏の陣営がティックトック(TikTok)のユーザーに36万1000ユーロ(約5700万円)の報酬を支払い、ジョルジェスク氏のコンテンツを宣伝させたと主張している。
また情報機関は陣営がジョルジェスク氏の人気を高めるために、SNSを利用して積極的な宣伝キャンペーンを行ったとしている。
ジョルジェスク氏は過去にロシアのプーチン(Vladimir Putin)大統領を「国を愛する男」と絶賛し、ウクライナを「敵対国家」と呼んだことがある。
またジョルジェスク氏は1930~40年代にかけてのルーマニアのファシストやナショナリスト指導者たちを国民的英雄と評して物議を醸したこともある。
ヨハニス氏は憲法裁の決定を歓迎したうえで、「ロシアがティックトックやテレグラムなどのSNSを利用して、組織的にジョルジェスク氏を宣伝するために数千のソーシャルメディア・アカウントを立ち上げていた」と説明している。
選挙管理委員会は12月8日に予定していた決選投票に向け、海外で951の投票所を開設していたが、中止せざるを得なくなった。
ヨハニス氏は4日に情報機関、外国情報局、特別通信局、内務省の資料を公開した。