◎デモ隊は与党「ジョージアの夢」がEU加盟交渉の中断を決めたことに憤慨し、国会前に集結。3夜連続で警察と衝突した。
ジョージア・トビリシの国会前で11月30日、政府与党に抗議するデモ隊と警察が衝突し、100人以上が逮捕された。
内務省は声明で、「国会前で暴徒が大暴れし、100人以上が逮捕された」と明らかにした。
AP通信によると、一部の機動隊員がデモ参加者を追いかけまわし、警棒で殴打したり、踏みつけたりしたという。
デモ隊は与党「ジョージアの夢」がEU加盟交渉の中断を決めたことに憤慨し、国会前に集結。3夜連続で警察と衝突した。
選挙管理委員会は10月26日に行われた議会選(一院制、定数150)の結果を認定し、ジョージアの夢の勝利が確定した。
野党は票が操作されたと主張し、支持者に抗議デモを行うよう呼びかけている。
今回の議会選はジョージアが「本気で」EU加盟を目指すかどうかを決める国民投票と位置づけられていた。
野党とズラビシュヴィリ(Salome Zurabishvili)大統領の呼びかけに応じた有権者たちは大規模な抗議デモを展開。野党が国会をボイコットする事態に発展した。
機動隊は30日夜、メディア関係者に対しても武力を行使し、中央大通り沿いでデモ隊とジャーナリストに向けて放水砲を発射した。
ズラビシュヴィリ氏は30日、APのインタビューで、「ジョージアはロシアの属国になりつつあり、与党が主要機関を支配し、反対派を弾圧している」と主張した。
またズラビシュヴィリ氏は「司法、中央銀行、議会、あらゆるものが与党の支配下に置かれ、ロシア化が一気に進んでいる」と述べた。
さらに、この抗議デモを暴動と呼んだコバヒゼ(Irakli Kobakhidze)首相を「とんでもない男」と呼び、辞任を要求した。
コバヒゼ氏は30日、EU加盟への道にコミットしていると述べる一方、2014年にウクライナで起きたマイダン革命に言及し、「外国勢力がウクライナのようなシナリオに持ち込もうとしている」と主張した。
ジョージアはロシアによるウクライナ侵攻後、EUへの加盟を申請。しかし、EUはジョージアの夢が物議を醸す反スパイ法を法制化したことを受け、加盟交渉を停止、財政支援の一部を凍結した。
米政府もこの法律を受け、数十人の政府高官を制裁リストに追加した。
ジョージアの夢は9月初めにLGBTQ+(性的少数者)の権利を侵害する「反LGBTQ法案」を成立させた。
欧州議会は29日、ジョージアの議会選を「自由でも公正でもない」と非難する決議を賛成多数で採択。コバヒゼ氏はこれを受け、EU加盟交渉の中断を決めた。