◎M痘は中央・西アフリカでよくみられる感染症のひとつ。1970年にコンゴ民主共和国で初めて検出された。
アフリカ疾病予防管理センター(CDC)は10月31日、アフリカ大陸におけるM痘(エムポックス)の流行は収まる兆しが見えないとして、国際社会にさらなる支援を呼びかけた。
アフリカCDCのカセヤ(Jean Kaseya)事務局長は声明で、「M痘はアフリカ中央部を含む大陸全体で猛威を振るっており、今のところ制御下に置くことはできず、感染者の増加傾向が続いている」と述べた。
M痘は中央・西アフリカでよくみられる感染症のひとつ。1970年にコンゴ民主共和国で初めて検出された。
重症化リスクは低く、感染者の大半は数週間で回復する。
死亡率は地域の医療体制によって異なるが、概ね1~3%ほど。潜伏期間は7~21日で、ほとんどの患者が10~14日で発症する。空気感染を起こした事例は確認されていない。
世界保健機関(WHO)は8月、コンゴを含むアフリカ中央部と西部でM痘感染者が急増していることを受け、公衆衛生上の緊急事態を宣言した。
アフリカの今年の累計感染者は約4万8000人、死者数は1100人を超えた。感染が確認された国は19カ国となっている。
アフリカCDCとWHOが打ち出した6ヶ月計画(ワクチン接種含む)の予算は約6億ドル。その5割はM痘が検出された19カ国と、周辺国の準備態勢の強化に割り当てられている。
しかし、アフリカCDCはこの流行を食い止めるための資金が不足していると警告した。
イギリス当局は30日、M痘変異株の感染者を初めて確認したと発表した。この変異株はスウェーデンとドイツでも検出されている。
アフリカCDCによると、大陸における感染者の85.7%、死者の99.5%がアフリカ中央部で確認されている。そのうち、コンゴの死者が全体の99%を占めている。同国では今月初めからワクチン接種が始まった。