◎故ピノチェト元大統領は1973年の軍事クーデターで政権を掌握。17年にわたる恐怖支配の中で数千人の反体制派を殺害した。
南米チリのボリッチ(Gabriel Boric)大統領は11日、故ピノチェト(Augusto Pinochet)元大統領の軍事独裁政権が犯した人道に対する罪を無効とする「恩赦法」を廃止すると誓いを新たにした。
ピノチェト氏は1973年の軍事クーデターで政権を掌握。17年にわたる恐怖支配の中で数千人の反体制派を殺害した。
ボリッチ氏は圧政開始から51年を記念する演説で、軍事政権時代の弾圧を清算し、それに関与した軍関係者などの責任を問うと誓った。
またボリッチ氏は国民に対し、「同じ過ちを犯さぬために、私たちは民主主義と人権への決意を新たにする必要がある」と強調した。
ボリッチ氏は22年3月に就任、ミレニアル世代の元学生デモ指導者である。
独裁政権の最初の5年間(1973~78年)、何千人もの反体制派、活動家、野党政治家が殺害されたり、拷問を受けたりした。ピノチェト氏は政権末期に憲法を改正、それ以来、憲法は一度も改正されていない。
ボリッチ氏の左派連合は議会で過半数を欠いているため、改正には右派の協力が必要不可欠である。
22の政党はピノチェト時代の憲法を書き直そうと何度も議論してきたが、左派と右派の溝は深く、議論は平行線をたどっている。
ボリッチ政権は発足以来、2度、憲法改正の是非を問う国民投票を実施したが、いずれも反対多数で否決されている。