◎軍政は現在、最大の試練に直面している。
2016年5月6日/ミャンマー、アウンサンスーチー氏(左)とフライン司令官(AP通信)

内戦下のミャンマーを統治する軍事政権が7月31日、非常事態宣言を6カ月間延長した。

ミャンマー国営放送(MRTV)によると、フライン(Min Aung Hlaing)司令官は評議会で、「非常事態令は国の治安を回復し、国政選挙に必要な国税調査を実施するうえで欠かせない」と主張し、延長を許可されたという。

非常事態令は軍が政権を掌握した21年2月に発令された。

それ以来、三権はフライン氏の支配下に置かれている。

軍政は現在、最大の試練に直面している。

北東部シャン州で攻勢を強める「MNDAA(ミャンマー民族民主同盟軍)」、西部ラカイン州の「アラカン軍」、東部カレン州の少数民族ゲリラ「カレン民族同盟(KNU)」、チン州の反体制派「チン民族戦線(CNF)」などからなる民主派勢力は昨年10月、中国国境に近い北部で反攻を開始。複数の地域から国軍を追い出した。

民主派勢力の支配地域は拡大し続け、中国国境沿いの北東部の広い範囲を占領。投降した一部の兵士を取り込むことに成功した。

アラカン軍はラカイン州の主要都市ブティダウンなどを制圧。この町はバングラデシュと国境を接する交易の要衝であり、軍政の拠点が複数あった。

一方、KNUはタイ国境近くの要衝ミャワディなどを制圧。軍政の兵士数千人がタイに逃亡したり、KNUに寝返ったりした。

MNDAAは先週、シャン州の戦略的に重要な2つの町を軍政から奪取したと発表した。

地元の独立系メディアによると、軍政が支配下に置く領土は国土の半分以下と推定されている。

軍政は首都ネピドーを含む中部の大部分を防衛すべく、この地域に部隊を集めているようだ。この地域では最近、小規模なロケット攻撃と2件の爆弾テロが発生している。

軍政は来年総選挙を行うと主張しているが、民主派勢力の支配下にある地域で投票を行えるかどうかは不透明な情勢だ。

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