◎昨年ダリエンを通過した移民は52万人超。22年の2倍以上に急増し、過去最高を更新した。
中米パナマの次期大統領であるムリノ(José Raúl Mulino)氏は28日、同国とコロンビアの間にある危険な密林地帯「ダリエン地峡(Darien Gap)」を通過する移民の強制送還について、米政府との合意を望んでいると明らかにした。
ムリノ氏はダリエン近くの移民キャンプを視察した際、記者団の取材に応じた。
ムリノ氏は「来週、マヨルカス(Alejandro Mayorkas)米国土安全保障長官率いる代表団とこの問題について協議する」と明らかにした。
ムリノ氏は65歳の弁護士。5月の選挙で勝利し、7月1日に就任する。
ムリノ氏はダリエンの封鎖を公約に掲げていた。
昨年ダリエンを通過した移民は52万人超。22年の2倍以上に急増し、過去最高を更新した。
そこを通過した移民は他の中米諸国とメキシコを巻き込んで米南部国境を目指す。米当局が昨年拘束した移民は250万人に達した。
パナマ当局によると、今年ダリエンを通過した移民や約18万6000人。そのほとんどがベネズエラ、エクアドル、コロンビア、中国人であった。
パナマ政府はこれまで、バスを準備するなどして、移民の国土横断を手助けしてきた。
多くの人権団体がダリエンで誘拐、性的虐待、人身売買などが横行していると非難している。
ムリノ氏は記者団に対し、「私は全ての関係国がこの移民問題に理解を示し、敬意と品格ある協定に署名できると信じている」と語った。
またムリノ氏は「米政府と合意に達すると確信している」と述べたが、その詳細には言及しなかった。
この問題に悩まされているメキシコは米政府の圧力を受け、移民の取り締まりを強化しているが、その数は増加の一途をたどっている。