◎この捜査はグティエレス容疑者の後任がCEOに就任し、200億レアル(約5750億円)もの使途不明金があると公表した23年1月に始まった。
ブラジルの小売り大手ロジャス・アメリカナスの元CEOが250億レアル(約7190億円)の詐欺計画に関与したとして、スペインの首都マドリードで逮捕された。捜査当局が28日、明らかにした。
ブラジル警察は同社がキャッシュフローを水増しし、株価を人為的に上昇させるために決算を捏造したとして、元CEOのグティエレス(Miguel Gutierrez)氏を国際手配。国際刑事警察機構は要請を受け、同氏をレッド・ノーティスに指定した。
スペイン当局はレッドノーティスに基づき、グティエレス容疑者が市場操作、インサイダー取引、犯罪組織の創設、資金洗浄(マネーロンダリング)などに関与したとして、逮捕に踏み切ったとみられる。
この捜査はグティエレス容疑者の後任がCEOに就任し、200億レアル(約5750億円)もの使途不明金があると公表した23年1月に始まった。
グティエレス容疑者の弁護士は地元紙に対し、「依頼人は当局の捜査に全面協力し、無実を証明する準備ができている」と語った。
グティエレス容疑者は1993年にアメリカナスに入社。様々な役職を歴任し、世界有数の富豪であるレマン(Jorge Paulo Lemann)氏、テレス(Marcel Telles)氏、シクピラ(Carlos Alberto Sicupira)氏の支持を得てCEOに就任した。
ブラジル当局によると、同社の取締役会は詐欺計画に関する情報を提供し、捜査に協力しているという。
ブラジルは1988年にスペインと犯罪人引渡し条約を結んでいる。スペイン警察はグティエレス容疑者の逮捕に関する声明を出していない。
ブラジル警察は27日、リオデジャネイロ州で他の元アメリカーナ取締役に対する15件の逮捕・捜索・押収令状を執行した。
レマン氏、テレス氏、シクピラ氏は捜査の対象外である。