◎CSTO加盟国であるアルメニアは係争地ナゴルノカラバフがアゼルバイジャン軍の攻撃を受けた際、ロシアに支援を要請していた。
ロシアのプーチン大統領(右)とアルメニアのパシニャン首相(AP通信)

アルメニアのパシニャン(Nikol Pashinyan)が12日、ロシアが主導する旧ソ連圏軍事同盟「集団安全保障条約機構(CSTO)」から脱退する意向を示した。

パシニャン氏は国会での質疑応答で、「CSTOからの離脱時期については、後日閣議決定次第、公表する」と述べた。

アルメニアとロシアの関係は係争地ナゴルノカラバフの扱いをめぐって緊張。溝が深まる中、パシニャン氏は先月、プーチン(Vladimir Putin)大統領と会談し、この問題について協議していた。

アゼルバイジャン政府は昨年9月、アルメニアの破壊工作員が仕掛けた地雷により兵士2人と民間人4人が死亡したことを受け、ナゴルノカラバフへの「対テロ作戦」を開始。アゼル軍の集中砲火を受けたナゴルノカラバフの反政府勢力はまもなく降伏し、アゼル政府の要求を全面的に受け入れた。

ナゴルノカラバフは国際的にはアゼルの領土とみなされているが、1994年に終結した分離戦争以来、アルメニア政府の支援を受ける反政府勢力の支配下に置かれ、住民の大半はアルメニア人で構成されていた。

アゼル軍の勝利により、30年にわたるアルメニア人支配に終止符が打たれ、市民約12万人がアルメニアに逃れた。

CSTO加盟国であるアルメニアはナゴルノカラバフがアゼル軍の攻撃を受けた際、プーチン氏に支援を要請していた。

しかし、ロシアはアゼルとも同盟関係にあり、この攻撃を黙認。アルメニアはこれに激怒し、CSTO合同演習や首脳会議への参加を取りやめた。

パシニャン氏は国会で、「我が国はCSTOから脱退する」と初めて公言した。「我々は脱退します。いつ去るかは我々が決めます。他の選択肢はありません...」

その直後、外務省の報道官が声明を発表。「(脱退が)完全に決まったわけではなく、政府内で協議が進められている」と強調した。

また報道官は公共放送を含む地元メディアが「CSTO脱退へ」と速報で報じたことについて、「間違いである」と述べた。

ロシア政府はコメントを出していない。

ロシアは友好国アゼルとの関係悪化を望まず、紛争に介入する権限がなかったとして、アルメニアに自制を求めていた。

アルメニアとアゼルは戦争捕虜の交換と平和条約締結に向けた協議を続けている。

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