◎ハマスの先制攻撃から8カ月、イスラエルはガザ地区への度重なる空爆と地上攻撃によってハマスの軍事力を著しく低下させた。
バイデン米大統領(左)とイスラエルのネタニヤフ首相(Getty Images)

パレスチナ・ガザ地区のイスラム組織ハマス壊滅を目指すイスラエルと米国の間に「すきま風」が吹いている。

ネタニヤフ政権はハマス壊滅という野心的な目標を掲げ、バイデン政権は当初、その目標にコミットしていると表明。イスラエルへの兵器供与を加速させた。

しかし、紛争が始まって8カ月近くが経過した今、米国はハマス壊滅より恒久的な停戦を支持するようになり、ネタニヤフ政権に武器を置くよう求めている。

バイデン氏は先週、「現在のハマスに昨年10月7日のような攻撃を仕掛ける能力はなく、ひどく弱体化している」と指摘。イスラエルに紛争を終結させるよう強く促した。

イスラエル戦時内閣はこの提案を拒否し、ハマスを跡形もなく消し去るまで戦い続けると誓った。

バイデン氏は5月31日、「この戦争を終わらせる時が来た」と表明。ハマスはひどく弱体化し、イスラエルを脅かすような存在ではなくなったため、戦争の目的は達成されたと示唆した。

ハマスの先制攻撃から8カ月、イスラエルはガザ地区への度重なる空爆と地上攻撃によってハマスの軍事力を著しく低下させた。

イスラエルはハマスの戦闘員の半分にあたる約1万5000人を殺害し、数千人に重傷を負わせたと主張している。

またイスラエルはガザの地下に構築された迷路のようなトンネル網、指揮所、ロケットランチャーの製造拠点など、ハマスに関連する多くの施設を破壊したという。

バイデン氏は「もう十分だ」と考えているように見えた。

バイデン氏はイスラエルとハマスに対し、3段階の停戦案を受け入れ、人質解放で合意に達するよう求めた。

ハマスは弱体化したというバイデン氏の指摘について、イスラエル政府は「ハマスの軍事力と統治能力をゼロにし、すべての人質を解放し、ガザはもはやイスラエルの脅威でなくなったとするまで、攻撃を維持する」と言明。「イスラエルは恒久的な停戦を結べという国際社会の圧力には決して屈しない」と述べた。

米政府はイスラエルが提案に応じない場合、政策を見直す可能性があると警告している。

パレスチナ側の死者は3万7000人近くに達し、今も増え続けている。

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