◎ズラビシュヴィリ大統領は5日以内に法案に署名する必要がある。これを拒否すれば、代わりに国会議長が署名、成立する。
ジョージア議会が28日、ズラビシュヴィリ(Salome Zurabishvili)大統領が拒否権を行使した外国エージェント法案を再可決した。
ズラビシュヴィリ氏は5日以内に法案に署名する必要がある。これを拒否すれば、代わりに国会議長が署名、成立する。
これは外国から資金の20%以上を得ているメディアやNGOを「影響力のある団体・組織」に指定し、必要書類の提出を求めるものである。
国会は今月中頃、この法案を賛成多数で可決。親欧米派のズラビシュヴィリ氏は署名を拒否していた。
首都トビリシの国会前と与党・ジョージアの夢の本部事務所前では法案の採決に反対する集会が開かれ、数千人が参加。一部の暴徒と機動隊が衝突し、逮捕者が出たという情報もある。
ズラビシュヴィリ氏はこの通称「ロシア法」が国の将来を危うくし、EU加盟交渉だけでなく、自由で民主的な世界の一員となる道を妨げていると非難してきた。
国会は賛成84ー反対4で法案を可決。その際、ジョージアの夢の副代表が野党党首から水をかけられる場面もあった。
国会前のデモ隊はズラビシュヴィリ氏の拒否権が覆されると「ロシアの奴隷め!」などと叫び、泣き出す人もいた。
与党事務所前に集まったデモ隊は国歌を歌い、コバヒゼ(Irakli Kobakhidze)首相に辞任を要求。地元テレビ局の取材に応じた男性は「旧ソ連のようなやり方にウンザリしており、明日、国を離れる予定だ」と憤慨した様子で語った。
別のデモ参加者は「まさか、またソビエトの支配下に置かれるなど、夢にも思っていなかった」と嘆いた。
地元メディア、ジャーナリスト、権利団体、NGO、EUの執行機関である欧州委員会、米国はロシアが同様の法律で反体制派を弾圧していると指摘。政府に再考を促していた。
しかし、政府与党はこの法律が外国勢力の影響力を抑え、不特定多数の富裕層や外国人による謀略や同国の不安定化を防ぐことができると反論している。
ジョージアとロシアの関係は2008年の南オセチア紛争で崩壊。ロシアはこの紛争で南オセチアとアブハジアの分離主義勢力を支援し、ジョージアを3分割した。
それ以来、ロシア軍の支援を受ける分離主義者がこの両地域を実効支配している。
両地域はジョージアからの独立を一方的に宣言。ロシアはこれを承認したが、国連は認めていない。
政府はロシア寄りの姿勢を示しながらも、EUとNATOへの加盟を目指すと主張している。