◎この法案は今月初めに審議入りした。
ジョージア・トビリシの国会前で4月30日夜、外国エージェント法案に抗議するデモ参加者と機動隊が衝突した。
現地メディアによると、機動隊は催涙ガスと放水砲で国会前のバリケードに接近した数十人を追い払ったという。
このデモには数千人が参加し、コバヒゼ(Irakli Kobakhidze)首相が推進する通称「ロシア法」に抗議した。
デモ隊はこの法案が同国の悲願であるEU加盟に向けた交渉に悪影響を与えると非難。法案を破り捨てるよう要求している。
政府与党は昨年、外国エージェント法案の採決を目指したものの、抗議デモが激化したことを受け、断念した。
これは外国から資金の20%以上を得ているメディアやNGOを「影響力のある団体・組織」に指定し、必要書類の提出を求めるものである。
政府与党は今月初め、この法案の内容の一部とタイトルを見直して国会に再提出。地元メディアによると、内容は昨年のものとほぼ同じだという。
野党、専門家、独立系メディアのジャーナリストなどは同様の法律がロシアで導入され、反体制派メディアやNGOが弾圧されていると非難。政府与党がこれを撤回するまでデモを続けると表明している。
国会前でロイター通信の取材に応じた男性はこれを「プーチン臭がする法案」と呼び、政府与党がロシアのようなやり方でメディアを弾圧する恐れがあると警告した。
地元メディアによると、国会議事堂の入り口付近に集まった数十人は機動隊の放水砲に押し返され、その後、数人が逮捕されたという。
この法案は今月初めに審議入りした。
親欧米派のズラビシュヴィリ(Salome Zurabishvili)大統領は法案が国会を通過した場合、拒否権を行使すると表明。しかし、国会は過半数の賛成でこれを覆すことができる。
ジョージアとロシアの関係は2008年の南オセチア紛争で崩壊。ロシアはこの紛争で南オセチアとアブハジアの分離主義勢力を支援し、ジョージアを3分割した。
それ以来、ロシア軍の支援を受ける分離主義者がこの両地域を実効支配している。
両地域はジョージアからの独立を一方的に宣言。ロシアはこれを承認したが、国連は認めていない。
政府与党はEUとNATOへの加盟を目指す一方、ロシアとの関係も維持すると主張している。