◎今年8月に就任した元左翼ゲリラのペトロ大統領は関係国の支援を受け、民族解放軍(ELN)との交渉を再開した。
コロンビア政府は12日、国内最大の左翼ゲリラ「民族解放軍(ELN)」との和平交渉が思うように進展しなかったことを受け、引き続きメキシコで協議を続けると明らかにした。
双方の代表はベネズエラの首都カラカスで3週間近く協議を続けてきた。
ELNは1960年代に学生、労働組合、神父らによって結成され、キューバ革命からインスピレーションを得たとされる。構成員数は2500~4000人と推定され、ベネズエラでも活動し、金鉱山での違法採掘や麻薬密売で利益を上げている。
政府とコロンビア革命軍(FARC)は2016年に和平協定を結んだものの、ELNやその他のゲリラおよびギャングは国境付近で活動を続け、軍や警察を攻撃している。コロンビア内戦の犠牲者は45万人以上と推定されており、その大半が1985年~2018年の戦闘で死亡した。
前政権もELNとの和平を目指していたが、2019年に首都ボゴタの警察学校でELN構成員による爆破テロが発生。交渉は打ち切られた。
しかし、今年8月に就任した元左翼ゲリラのペトロ(Gustavo Petro)大統領は関係国の支援を受け、ELNとの交渉を再開した。
ペトロ氏はELNとの和平について、「国に完全な平和をもたらす計画の要」と説明している。警察の目の届きにくい一部地域は依然としてゲリラや麻薬カルテルの支配下に置かれている。
政府とELNの代表団は12日に共同声明を発表。双方は国内の刑務所に収監されているELN構成員の釈放や2地域に人道支援を提供することで合意した。
ELMの代表団は記者会見で、「来年1月から始まる次の交渉では停戦が実現することを望んでいる」と語った。
ELNはコロンビアと隣国ベネズエラに拠点を置いている。この地域で活動するNGOによると、ELNは中米の麻薬カルテルが運用する密売に深くかかわっているという。
メキシコ、ノルウェー、ベネズエラ、チリ、キューバがこの和平交渉の仲介役を務めている。