◎警察は治安確保を理由に集会を禁じたが、デモ参加者はイスタンブールのイスティクラル通り近くを行進し、禁止令に立ち向かった。
トルコ警察は25日、国連の「女性に対する暴力撤廃の国際デー」を記念する抗議デモを厳しく取り締まり、数十人を拘束した。
警察は治安確保を理由に集会を禁じたが、デモ参加者はイスタンブールのイスティクラル通り近くを行進し、禁止令に立ち向かった。
警察はデモ参加者を取り囲み、バスに押し込んだ。AP通信によると、警察が用意した大型バス3台は抗議者で満杯になったという。
警察はイスティクラル通りで13日に発生した爆破テロを受け、この地域の警備を強化している。
州警察とイスタンブール知事室は25日、イスティクラル通りにおけるライブ、集会、イベント、屋台の設置を禁止すると発表した。
トルコのエルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は昨年、女性に対する暴力の防止と撲滅を目的とした「イスタンブール条約」から脱退し、欧米諸国から批判を浴びた。この条約は2011年にイスタンブールで調印された。
エルドアン氏はこの条約について、「トルコの伝統的な価値観に反するものであり、離婚を奨励し、伝統的な家族制度を弱体化させる」と指摘している。
保守派も同様の見解を示し、多くの議員が同性愛を助長させると批判した。
トルコ国会は今年初め、女性に対するストーカー行為を厳罰化する法案を可決している。
来年の大統領選で再選を目指すエルドアン氏は25日、国際デーに言及し、「女性に対する暴力を防ぐ取り組みを推進する」と有権者に約束した。「トルコは女性に対する暴力を決して許しません!」
しかし、人権団体はストーカーの厳罰化だけで問題は解決せず、殺人や性暴力を防ぐことはできないと批判している。
イスタンブールに拠点を置く団体「ストップ・フェミサイド(女性と標的とした殺人)」によると、トルコ国内で今年殺害された女性は確認できているだけで349人に達し、その多くが性暴力絡みだという。