◎イタリアのシチリア島を目指していたとみられる移民18人を乗せたボートは9月20日に南東部の港を出港し、翌日消息を絶った。
チュニジア南東端のジェルバ島で18日、亡命を希望する人々が地中海で行方不明になった事件に関するデモが行われ、数百人が参加した。
デモ隊は政府に行方不明者の捜索を強化するよう求めている。
報道によると、警察はデモ会場近くでフランス語圏諸国がつくる連帯組織「フランコフォニー国際機関(OIF)」の首脳会議が開かれることを受け、デモ隊を厳しく取り締まったという。
イタリアのシチリア島を目指していたとみられる移民18人を乗せたボートは9月20日に南東部の港を出港し、翌日消息を絶った。
警察はこのボートに乗っていたとみられる8人の遺体を収容している。
ジェルバ島の入り口ゲート付近には機動隊が配備され、デモ隊の進入を阻止した。
デモに参加した漁師はAFP通信の取材に対し、「政府はもっと真剣に行方不明者を探す必要がある」と訴えた。この漁師は消息を絶ったボートを見送ったという。
行方不明者の家族は港の関係者や漁師の支援を受け、数回デモを行っている。最初のデモは首都チュニスで行われ、数千人が参加した。
アフリカ北部のチュニジアとリビアには多くの亡命希望者が押し寄せている。人々は頼りないゴムボートや木造船に乗り、イタリアのシチリア島やランペドゥーザ島を目指す。
チュニジアで活動する人権団体によると、今年1月から9月の間にチュニジア沖で拘束された移民は2万3500人を超えたという。また同期間に海上で死亡または行方不明になった移民は507人と報告している。
チュニジアは深刻な政治・経済危機に直面しており、人口の3分の1が貧困層と推定されている。地元メディアによると、沿岸警備隊と警察の予算は枯渇し、行方不明者の捜索・救助に苦慮しているとみられる。