◎交渉の内容は一切明らかにされていない。
アフリカ連合(AU)は2日、エチオピア政府と北部ティグライ州を実行支配する反政府勢力「ティグレ人民解放戦線(TPLF)」が敵対行為を恒久的に停止することに合意したと発表した。
報道によると、2日の和平交渉はナイジェリアのオバサンジョ(Olusegun Obasanjo)元大統領が担当したという。
AUはオバサンジョ氏、ケニアのケニヤッタ(Uhuru Kenyatta)前大統領、南アフリカのヌクカ(Phumzile Mlambo-Ngcuka)元副大統領を仲介役に任命している。
AUは声明で、「双方は復興、法と秩序の回復、人道支援の供給を妨げないことに合意した」と述べている。
AFP通信はAU当局者の話を引用し、この合意を「夜明け」と報じた。
交渉の内容は一切明らかにされていない。
エチオピア軍とTPLFの紛争は2020年11月に本格化し、これまでに民間人数万~数十万人が死亡、数百万人が国内避難民となり、数万人が近隣諸国に逃亡したと推定されている。
双方は今年3月末に人道的停戦に合意したものの、8月に戦闘を再開。合意は破綻した。
エチオピア軍は隣国エリトリアの部隊と協調してティグライ州に攻撃を仕掛けたと伝えられているが。詳細は不明である。
エリトリア政府は交渉に関与していないとみられる。
国連はティグライ州の市民推定600万人が紛争の影響でまともに食料を確保できず、壊滅的な人道危機が発生すると警鐘を鳴らしている。
ユニセフは同州の児童の3分の1が栄養失調に苦しんでいると報告した。
ベルギーの学術チームはティグライ州だけで戦闘、飢餓、医療不足により民間人38万~60万人が死亡したと推定している。
この合意は大きな成果と歓迎されているが、エリトリア軍を含む現地の兵士が武器を置くかどうかは不明である。
双方は大量虐殺や性暴力などで告発されている。
ティグライ州は外界から完全に遮断されており、現地の様子を確認することは難しい。政府はこの地域へのメディアの立ち入りを禁じている。