◎ギャングたちは首都ポルトープランスの約60%を支配しているとみられる。
ハイチ、首都ポルトープランスのギャング(Getty Images/AFP通信)

国際移住機関(IOM)は28日、ギャングの暴力と経済危機に直面するハイチの首都ポルトープランスの市民約9万6000人が避難を余儀なくされていると報告した。

IOMはギャング関連の暴力が「不平等、日常生活に欠かせない物資の喪失、大量虐殺、殺人、強盗、拷問、誘拐、ゆすり」などを引き起こしていると警告した。

国連によると、ギャングたちはポルトープランスの約60%を支配しているとみられる。

ハイチの治安は昨年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺事件と8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、それ以来危機的状況が続いている。

ポルトープランスでは4カ月ほど前から「G9&Family」などの武装ギャングが地域の支配権をめぐって戦闘を繰り広げているとみられ、国連によると、7月中旬以降の死者、負傷者、行方不明者は数百人に達し、10万人以上が国内外避難民になった。

またポルトープランスではアンリ(Ariel Henry)首相に辞任を要求する抗議デモも続いている。デモ隊は燃料補助金の廃止を決めたアンリ氏の辞任と暴力の終結を求めている。

ポルトープランスの主要燃料ターミナルはギャングの支配下に置かれ、市内のガソリンスタンドは空になり、医療機関は閉鎖を余儀なくされ、一部地域ではコレラが蔓延し始めている。

ギャングたちはより多くの領土を支配するために暴れまわっており、女性や児童だけでなく男性も強姦被害に遭うなど、地獄の様相を呈している。

市民はコレラの拡大だけなく、水や食料などの基本物資の不足にも悩まされている。ギャングの暴力から逃れた人々は政府や国連などの人道機関が運営するテントでの生活を余儀なくされ、児童の健康への懸念も高まっている。

保健当局は1700人以上がコレラに感染し、少なくとも40人が死亡したと報告しているが、実際の数はそれよりはるかに多いとみられる。

IOMは昨年8月の大地震で自宅を失った推定1万7000人も避難所での生活を続けていると報告した。

ハイチ政府は今月、国際社会に平和維持軍の派遣を要請した。

国際社会はハイチ警察を強化するために装甲車や装備品などを送っている。国連安保理はアンリ氏の要請に関する会合を開く予定だが、日程は明らかにされていない。

2022年7月21日/ハイチ、首都ポルトープランスの学校に開設された避難所(Ralph Tedy/ロイター通信)
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