◎デモ隊は「米国がエチオピアを馬鹿にした」「エチオピアは貧しくない」「飢餓など起きていない」などと書かれた看板を掲げて欧米諸国に抗議した。
エチオピアの首都アディスアベバで22日、欧米諸国の「内政干渉」に抗議するデモが行われ、数千人が参加した。
現地メディアによると、複数の都市で同様のデモが開催されたという。
アディスアベバのデモは市当局が主催した。
デモ隊は「米国がエチオピアを馬鹿にした」「エチオピアは貧しくない」「飢餓など起きていない」などと書かれた看板を掲げて欧米諸国に抗議した。
デモを主催したアディスアベバの副市長はアビー・アハメド(Abiy Ahmed)首相を称賛し、「内政干渉に強く反対する」とデモ隊に呼びかけた。
エチオピア軍と北部ティグライ州を実行支配する反政府勢力「ティグレ人民解放戦線(TPLF)」の紛争は2020年11月に本格化し、これまでに民間人数万人が死亡、数百万人が国内避難民となり、数万人が近隣諸国に逃亡したと推定されている。
軍とTPLFの戦闘は今年8月末に再開され、5カ月間維持された人道的停戦は破綻した。
TPLFは先月、アフリカ連合(AU)仲介の和平交渉に応じると表明したが、エチオピア軍は隣国エリトリアの部隊と協調してティグライ州に攻撃を仕掛けているとみられる。
戦争当事者は来週、南アフリカで行われる和平交渉に参加する予定だ。米国は21日、和平交渉を支持すると表明した。
国連と欧米諸国はエチオピア軍が今週、ティグライ州の主要な町を制圧し、空港や公共施設の奪還を表明したことを受け、より多くの民間人が戦闘に巻き込まれる恐れがあると懸念を表明した。
米政府はエリトリア軍にティグライ州から撤退するよう求め、当事者に即時停戦に合意するよう促している。米国際開発庁(USAID)のサマンサ・パワー(Samantha Power)長官は今週、この内戦の人的被害を「驚異的」と評した。
一方、AP通信などの主要メディアは今週、8月以降の戦闘で女性や少女数十人がレイプされ、市民数百人が惨殺されたと報じた。
西側のメディアはティグライ州当局が作成した文書を引用し、「ティグライ州北西部の集落で13歳から80歳の女性およそ40人がレイプされた」と報じている。
国連安保理は22日、この紛争に関する非公開会合を開いたが、声明は発表されなかった。
報道によると、ノルウェーとアフリカの3理事国(ケニア、ガボン、ガーナ)がティグライ州の戦闘激化に「重大な懸念」を表明し、敵対行為の即時停止を求める声明を提案したという。しかし、ロシアと中国の反対で声明は見送られた。
トーマスグリーンフィールド(Linda Thomas-Greenfield)米国連大使は22日、「この1週間で戦闘と暴力が劇的に増加した」と声明を発表した。「戦闘と死者の規模はウクライナで見られるものに匹敵し、一般市民が十字砲火に巻き込まれています...」
紛争の影響はティグライ州に隣接するアムハラ州とアファール州にも広がっており、北部地域だけで数百万人が飢餓の危機に直面している。