◎サヘル地域で進行中の紛争はこの数カ月で激しさを増し、多くの民間人と兵士が犠牲になっている。
マリ当局は17日、北部キダル州で道路脇に仕掛けられていた爆弾が爆発し、国連平和維持軍の要員3人が死亡、数人が重傷を負ったと発表した。
国連によると、爆弾は同州郊外の道路で17日に爆発したという。死亡した3人はいずれもチャド出身。パトロール中に爆発に巻き込まれた。
国連安保理はMINUSMA(国連マリ多面的統合安定化ミッション)に関する会議を18日に開く予定である。この任務は世界で最も危険なPKO活動のひとつである。
国連のデュジャリック(Stephane Dujarric)報道官によると、重傷を負ったPKO要員3人は医療機関で治療を受けているという。
デュジャリック氏はニューヨークの会見で、「今年マリで死亡した要因は12人となった」と説明した。
ドゥジャリック氏によると、この部隊は地雷捜索・探知パトロールを行っていたという。
AP通信は関係筋の話を引用し、「爆弾は地雷探知機を持って徒歩で移動していた部隊が接近した時に爆発した」と報じている。
マリ北部を含むサヘル地域で活動するイスラム過激派は即席爆発装置(IED)を好んで使用する。
AP通信は「IEDは遠隔操作で起爆された可能性が高いものの、起爆させた者が部隊を目視で確認していたかどうかは分からない」と報じている。
一部の過激派は高性能IEDを使用しており、監視カメラやドローンで敵の動きを確認し、IEDを爆発させることもあるようだ。
国連によると、犯行声明は出ていないという。
サヘル地域で進行中の紛争はこの数カ月で激しさを増し、多くの民間人と兵士が犠牲になっている。国連によると、マリ、ニジェール、ブルキナファソで今年イスラム過激派に殺害された民間人は7月末時点で2000人を超え、昨年の通年を上回った。
マリの旧宗主国であるフランスはサヘル地域で活動する過激派に対する「バルハン作戦」を2014年に開始し、マリ、チャド、モーリタニア、ニジェール、ブルキナ軍を支援してきたが、今年8月にマリから部隊を完全撤退させた。
過激派は西アフリカ諸国への攻撃を加速させている。
仏軍撤退でマリの安全保障の懸念は深まるばかりだ。フランスとマリの関係は昨年5月の軍事クーデターで一気に冷え込んだ。
政権を奪取したゴイタ(Assimi Goita)大佐はフランスではなくロシアとの関係を重視し、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」と協力して過激派討伐を進めているとみられる。