◎メキシコの失踪者は麻薬戦争が本格化した2006年以降に激増した。
2022年8月30日/メキシコ、首都メキシコシティ、「強制失踪の被害者のための国際デー」のイベント(Eduardo Verdugo/AP通信)

メキシコの首都メキシコシティで30日、「強制失踪の被害者のための国際デー(International Day of the Victims of Enforced Disappearances)」に合わせて政府に行方不明者を探すよう求めるデモが行われた。

行方不明者の親族や知人は、失踪もしくは何かしらの理由で行方不明になった家族の写真を首にかけ、メキシコシティ中心部を行進した。

AP通信の取材に応じた女性は「警察は捜索願を出しても本気で捜査せず、失踪者が違法行為に関与していると決めつけている」と語った。「警察は失踪者を麻薬カルテルの売人と決めつけています!」

2年近く娘を探しているという男性は、「警察は捜査を放棄し、失踪者の家族とカルテルを結び付け、ひどい時には暴力振るうこともある」と説明した。「私はある警察官に、あなたの娘はカルテルの売人になったと言われました...」

デモ隊は失踪者の写真を市中心部に設置し、道行く人に写真を見て気になることや何か思い当たることがあれば教えてほしいと呼びかけた。

メキシコの失踪者は麻薬戦争が本格化した2006年以降に激増した。

麻薬カルテルやギャングは対立する組織の関係者やそれに近い人を誘拐することがある。専門家によると、麻薬カルテルが実行支配する地域には検問所があり、麻薬とは無縁の一般市民が拉致されることも珍しくないという。

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)のメキシコ事務所は、行方不明者が確認されているだけで10万人を超えていることについて、「膨大な数であり、事態は悪化している」と指摘した。

同事務所は声明で、「毎日、どこかで罪のない市民が拉致・誘拐されている」と述べた。「状況は改善するどころか、むしろ悪化しています。行方不明者を探す取り組みはもちろん、拉致や誘拐を未然に防止する取り組みを推進しなければなりません...」

デモ隊は政府に対し、行方不明者が自ら名乗り出るのを待つのではなく、捜索願受理から数時間以内に徹底捜査を行える体制を構築するよう求めた。

メキシコはシリアやアフガニスタンなどの紛争地を除いて、世界で最も危険な国のひとつとされ、麻薬戦争の犠牲者は35万~40万人と推定されている。

2022年8月30日/メキシコ、首都メキシコシティ、「強制失踪の被害者のための国際デー」のイベント、行方不明者の写真を見る女性(Eduardo Verdugo/AP通信)
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