◎一部の地域では雨が止んだ後も水が引かず、衛生状態の悪化が懸念されている。
過去に類を見ない大洪水に見舞われているパキスタンに国際援助が続々と到着している。
国営テレビPTVによると、トルコとUAE(アラブ首長国連邦)の支援物資を乗せた貨物機が29日にイスラマバードに到着したという。両国は食料、テント、その他の生活必需品を提供すると表明している。
シャリフ(Shehbaz Sharif)首相は先週末、非常事態を宣言し、国際社会に支援を呼びかけた。
パキスタン国家防災管理庁(NDMA)によると、豪雨と洪水に見舞われた4つの州の被災者は3300万人と推定され、推定100万戸の建造物が全壊または損壊し、6月以降の死者は確認できているだけで1100人を超えた。
被害の全容はまだ明らかになっておらず、NDMAによると、死者数は増加する可能性が高いという。
シャリフ氏は先週の演説で、今年の洪水は約1700人が死亡した2010年の水害よりはるかに深刻と警告した。
現場で被災者の救助に当たっている陸軍の司令官は28日に放送されたPTVのインタビューで、「復興には何年もかかる」という見通しを示した。
一部の地域では雨が止んだ後も水が引かず、衛生状態の悪化が懸念されている。
国連は先週、パキスタンの援助機関とそのパートナーに300万ドルの予算を割り当て、洪水で行き場を失った貧しい人々に支援を提供すると発表した。
また国連は被災地の医療・食料・水・衛生に焦点を当てるとした。
国会の気候対策部門を率いるレーマン(Sherry Rehman)上院議員は28日、自身も北西部カイバル・パクトゥンクワ州で被災したとSNSに投稿し、今年の異常気象は常軌を逸していると述べた。
パキスタンでは今年、いくつかの地域で山火事も発生している。
専門家によると、パキスタンの排水と治水能力はもろく、数十ミリの雨で町で冠水することも珍しくないという。政府はダム、堤防、貯水池、排水溝などの建設や整備をないがしろにしているわけではないが、排水・治水対策は遅々として進んでいない。
前例のないモンスーンは4つの州の広い範囲に影響を与え、多くの道路が冠水し、数百の橋が流された。NDMAは梅雨が終わる頃には国土の4分の1から3分の1が水没する可能性があると警告している。
政府は自治体・警察・消防を支援するために、兵士6000人以上を現地に派遣している。シャリフ氏は29日、北西部の被災地を視察し、自治体関係者と会談した。
シャリフ氏は記者会見で、家を失った人に住まいを提供する準備を進めていると述べた。