◎EUの執行機関である欧州委員会は17日の会議でウクライナに加盟候補国の地位を与えるかどうかを議論する予定。
フランス、ドイツ、イタリア、ルーマニアの首脳は16日、ウクライナのEU加盟を強く支持し、直ちに加盟候補国入りさせるべきと表明した。
ドイツのショルツ(Olaf Scholz)首相は共同記者会見で、「ウクライナは欧州の一員である」と述べる一方、ウクライナは加盟基準を完全に満たす必要があるとした。
フランスのマクロン(Emmanuel Macron)大統領は、「EUはウクライナがロシアに勝利するまで支援を提供し続ける」と約束した。
ウクライナのゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は首都キーウを訪問した4首脳に謝意を示したうえで、ロシアの侵略は「EUに対する戦争」であり、「最も有効な武器は団結である」と強調した。
またゼレンスキー氏はロシアに占領された領土を奪取するためにはより多くの重火器が必要であるとし、西側諸国に兵器供与を加速するよう重ねて呼びかけた。
4首脳は会議に先立ち、キーウ近郊のイルピンを視察した。
ウクライナ検察はロシア軍がイルピンやブチャで市民少なくとも数百人を虐殺したと告発しているが、ロシアは民間人への攻撃を否定している。
ロシア軍は東部ルハンシク州セベロドネツクと対岸の都市リシチャンスクに総攻撃を仕掛けている。この両都市が占領されれば、ウクライナはルハンシク州を失うことになる。
ショルツ氏、マクロン氏、イタリアのドラギ(Mario Draghi)首相、ルーマニアのヨハニス(Klaus Iohannis)大統領は侵攻以来初めてウクライナを訪問した。
EUの執行機関である欧州委員会は17日の会議でウクライナに加盟候補国の地位を与えるかどうかを議論する予定。
その後、6月23日と24日に予定されているEU首脳会議でこの問題について議論する。
一部のEU加盟国はウクライナの候補入りに慎重な姿勢を示しているが、独仏伊の支持はこれらの国々の考えを変える可能性がある。
加盟候補国入りは正式加盟に向けたステップのひとつに過ぎず、多くの専門家が加盟には10年以上かかると予想している。
ウクライナ政府は独仏伊の武器供与に不満を表明し、さらに、この3カ国はロシアのプーチン(Vladimir Putin)大統領との交渉に重点を置きすぎていると批判していた。
マクロン氏は今月初め、地元紙のインタビューの中で、「ロシアに屈辱を与えないことが重要」と述べ、批判を浴びた。
一方、ロシアの前大統領で安全保障理事会の副議長を務めるメドベージェフ(Dmitry Medvedev)氏は16日、EU首脳のキーウ訪問を嘲笑した。「カエル、レバ刺し、スパゲティのファンはキーウを訪問するのが大好きなようだ...」
カエルはイタリアのカエル料理、レバ刺しはドイツ、スパゲティはフランスを指しているようだ。